ACR
ACRES Commercial Realty自前の社員を持たず、中堅規模の商業用不動産に絞った貸し手ACRES Capitalに運営を丸ごと委ねている。報酬は元手の年1.5%に、簿価に対する年7%を超えた分の2割を上乗せする形で、外部の目利きをそのまま買う設計をとる。
集合住宅や学生寮、ホテル、倉庫など、建て替えや稼働の立て直しの途中にある物件へ、$10Mから$100Mほどの変動金利の第一順位ローンを出す。2025年は15本、総額$757.3Mを新規に組んだ。受け取る利息と、そのローンを担保に借りる資金のコストとの差が取り分になる。
貸出先は再生の途中にある物件で、工事の遅れや稼働の伸び悩みがそのまま延滞に変わる。オフィスの評価が下がる局面では担保割れも起きやすい。運用資産$2.2Bに対して借入は$1.3B規模あり、損失が出れば株主の取り分は増幅して削られる。
普通株への分配は2025年も見送った。過去の損失の繰越で課税所得を打ち消せるうちは、配当より簿価と投資余力を厚くする判断で、優先株への支払いと自社株買いだけを続けている。
元手の何倍もの借入で貸し込む商売のため、JPMorganやモルガン・スタンレーの融資枠と、ローンを束ねて売るCLO市場が開いているかどうかで、貸せる量が決まる。借り手の物件が計画どおり立ち直るかも同じだけ効く。
この会社をどう読むか
不動産投資信託は利益の大半を配当に回す器のはずだが、ACRES Commercial Realtyの普通株には2025年も配当がなかった。理由は業績ではなく税で、過去の損失の繰越が課税所得を打ち消しているあいだは、配らずに簿価を厚くできる。
前身はExantas Capitalで、2021年に運営を引き継いだACRES Capitalの名を冠して今の姿になった。貸すのは集合住宅やホテルなど、建て替えや立て直しの途中にある物件だ。完成した優良ビルを長く持つREITとは、担保の質も痛み方も別の種類になる。
バランスシート (要約)
資産 $2.2B のうち、借金などの負債を引いて株主のものと言えるのは $421M(19%)。
自己資本の薄さか借入の重さが同業の中でも目立つ
- 現金・現金同等物$84M
- 長期借入金$1.6B
この判定で見た指標: 自己資本比率・D/E。在庫や売掛を持たない賃貸業のため流動比率は判定に使わず、借入の重さは同業の D/E の中央値と比べています。
収益性 (TTM)
- 売上高
- $80M
- 売上成長率
- −4.2%
- 粗利率
- —
- 営業利益率
- —
- 純利益率
- 35.0%
- ROE
- 6.6%
- ROIC
- —
キャッシュフロー (TTM)
- 営業CF
- $4M
- フリーCF
- —
- 営業CFマージン
- 5.1%
- 現金燃焼
- 判定不能
配当
無配
配当を出さず、稼いだお金を成長のための投資や借入の返済に充てる段階です。利益を会社の中で再投資して価値を伸ばすことを優先しています。
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