
MRAM
Everspin Technologies磁気トンネル接合という物理現象でデータを保持するため、電源を落としても内容が消えない。フラッシュのような書き換え回数の上限がなく、書き込み速度はDRAM並みに速い。この組み合わせを必要とする設計者は多くないが、一度採用されれば製品寿命の続くかぎり取引が続く。
主力はToggle MRAMとSTT-MRAMの2系列で、ここに放射線に耐えるRAD-Hard品と、高速インターフェースのxSPIファミリーが加わる。2025年は売上の75%が代理店経由で、戦略上重要な一部の顧客とだけ直接取引を残している。もう一つの収入源が特許のライセンス料と技術サービスで、こちらは大口契約の有無で年ごとに額が振れる。
放射線環境や産業機器という手堅い用途を選んだ代償として、市場そのものが急に膨らむことはない。ライセンス収入は大口契約の成立時期しだいで動き、四半期の数字を読みにくくする。DRAMやNORフラッシュが安くなるほど、割高なMRAMをあえて選ぶ理由は薄れていく。
派手な新規事業には手を広げず、ToggleとSTTの派生品を積み上げる漸進的な開発を続けている。航空宇宙・防衛向けに製造サービスを提供する長期計画では戦略的な助成も受けており、単価は高いが競合の少ない領域へ年々傾いている。
四半期ごとの新規設計案件の獲得数が先行指標になる。2025年は44件、53件、55件、85件と積み上がったが、これが数年後の量産採用に化けるかどうかで将来の売上が決まる。アリゾナ州チャンドラーの磁性膜ラインは自社で持つ一方、ウェハーの購入と組立・検査は外部に委ねており、供給側の都合も数字に響く。
この会社をどう読むか
四半期あたりの新規設計案件は、2025年に44件から85件へと倍増した。Everspin Technologiesという会社では、この数字が売上や利益より先に見るべき指標になる。
採用が決まってから量産の売上が立つまで、産業機器や放射線環境向けの設計サイクルでは何年もかかる。だから足元の決算は数年前の案件の結果であり、いまの案件数は数年後の姿を映している。電源を切ってもデータが消えないという一点だけで食っている会社なので、その一点を必要とする設計者が増えているかどうかが、ほぼすべてになる。
バランスシート (要約)
資産 $85M のうち、借金などの負債を引いて株主のものと言えるのは $69M(81%)。
本業は赤字で現金を減らしている段階。黒字化の道筋が焦点
- 現金・現金同等物$44M
- 他の流動資産$21M
- 固定資産$19M
- 流動負債$13M
- 長期借入金$15K
- 短期借入金$2M
この判定で見た指標: 流動比率・自己資本比率・D/E。
収益性 (TTM)
- 売上高
- $55M
- 売上成長率
- 9.5%
- 粗利率
- 51.2%
- 営業利益率
- −11.8%
- 純利益率
- −1.1%
- ROE
- −0.9%
- ROIC
- −7.3%
キャッシュフロー (TTM)
- 営業CF
- $10M
- フリーCF
- $3M
- 営業CFマージン
- 18.0%
- 現金燃焼
- なし(CFは流入)
配当
無配
配当を出さず、稼いだお金を成長のための投資や借入の返済に充てる段階です。利益を会社の中で再投資して価値を伸ばすことを優先しています。
MRAM の掲示板
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