保険会社でありながら、保険の引受危険を一切負わないという珍しい二層構造そのものが個性になる。同業が景気後退で保険金支払いに苦しむ局面でも、この会社は組合の保険料さえ伸びていれば手数料収入を確保できる。
Erie Indemnity自体は保険を引き受けない。同名の相互保険組合Erie Insurance Exchangeと代行契約を結び、事務や引受、保険金の支払い、資産運用までを引き受ける。対価は組合の保険料の最大25%にあたる管理手数料で、組合の保険料が増えるほど危険を負わずに手数料が伸びる。
組合側の保険金支払いが災害などで膨らんで財務が傷めば、取締役会は手数料率を下げて組合を支える判断を迫られうる。自動車や住宅の保険は大手との競争が激しく、州ごとの保険料規制も組合の保険料の伸びを鈍らせる。
1925年の設立時からほぼ変わらない代行契約の枠組みを保ちながら、手数料率の年次見直しと配当・自社株買いで株主に応える。組合の保険料が伸びる限り、大きな戦略転換をあえてしない保守的な運営が続く。
稼ぎの源は組合であるExchangeが集める保険料そのもの。取締役会が少なくとも年に一度見直す手数料率の水準と、唯一の販路である独立代理店の網が契約を取り続けられるかで、受け取る額が決まる。
この会社をどう読むか
Erie Indemnityという社名だけを見ると普通の保険会社に映るが、この会社は保険証券を1枚も引き受けていない。1925年の設立以来、同じ年に生まれた相互保険組合Erie Insurance Exchangeの代理人を務めてきた。契約の引受から保険金の支払い、資産運用までを、組合に代わって担う立場に徹している。
対価として受け取るのは、組合が集める保険料の最大25%という手数料で、保険が背負う危険そのものは組合側に残る。ただし組合の財務が保険金の支払いで傷めば、取締役会は毎年見直すこの手数料率を引き下げて組合を支えざるを得なくなる場面が、この仕組みの唯一の急所になる。
バランスシート (要約)
資産 $3.4B のうち、借金などの負債を引いて株主のものと言えるのは $2.3B(68%)。
開示から読める範囲ではおおむね健全
- 現金・現金同等物$346M
- 他の流動資産$853M
- 固定資産$2.2B
- 流動負債$946M
この判定で見た指標: 流動比率・自己資本比率。
収益性 (TTM)
- 売上高
- $4.1B
- 売上成長率
- 7.2%
- 粗利率
- —
- 営業利益率
- 17.6%
- 純利益率
- 13.8%
- ROE
- 24.5%
- ROIC
- —
キャッシュフロー (TTM)
- 営業CF
- $687M
- フリーCF
- $571M
- 営業CFマージン
- 16.9%
- 現金燃焼
- なし(CFは流入)
配当
- 配当総額(年間)
- $254M
- 配当性向
- 45.5%
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