Appleについて語られるとき、最初に話題に上がるのはたいていiPhoneだ。世界で一番売れているスマートフォンのひとつであり、この会社の顔になっている。
だが、Appleの利益を本当に支えているのは、iPhoneそのものではなく、その「後ろ側」にある。
入口はハード、利益はサービス
Appleが売っているのは、端末だけではない。iPhoneを買った人は、そのままApp Store、iCloud、Apple Music、Apple Pay、広告といった仕組みの中で時間とお金を使い続けることになる。これらはどれも、一度ユーザーが入ってくれば、比較的薄く、長く、確実に売上が立つ仕組みだ。
ハードの販売は、景気や製品サイクルに左右される。だがサービスは、端末が新しくなろうと古くなろうと、ユーザーが使い続けてくれる限り、ほぼ同じペースで積み上がる。
この二層構造が、Appleの利益の安定感を生んでいる。
「乗り換えづらさ」が設計されている
Apple製品を長く使うほど、写真、連絡先、決済情報、サブスクリプションといったものがAppleの中に溜まっていく。他社のスマートフォンに乗り換えるときには、これらを移す手間が発生する。
この「乗り換えづらさ」は偶然ではなく、意図的に設計されている。ユーザーが一度エコシステムに入ったら、次もまたAppleを選ぶ確率が高くなるように、製品同士を連動させている。
つまりAppleの本当の強さは、1台のiPhoneではなく、それが会員経済圏への入口になっていることだ。
崩れるとしたらどこか
このモデルが崩れるとしたら、いくつかの方向がある。
ひとつは、App Storeの手数料に対する規制が厳しくなった場合。サービス事業の利益率が下がれば、二層構造の片方が薄くなる。
もうひとつは、中国のような主要市場でiPhoneの販売が大きく落ちた場合。新規ユーザーが減れば、サービス事業の成長余地も同時に狭まる。
短期的には円高ドル安で為替の逆風を受けることもあるが、それは構造的な問題というより、一時的な揺れに近い。
まとめ
Appleを「iPhoneの会社」として読むと、スマートフォン市場の成熟とともに成長が止まる会社に見える。だが、iPhoneを「入口」として読むと、会員経済圏を長く維持する会社に見える。
どちらの視点で読むかで、この会社の業績に対する見方は大きく変わる。数字を追う前に、この二層構造を一度意識してから決算を見てみると、どこが本当に大事な数字なのかが見えてくる。