株を持っていると、会社が利益の一部を株主に配る「配当」を受け取れることがある。米国には、長年にわたって配当を出し続けてきた企業が多く、配当を目当てに持つ人も多い。ここでは高配当株の基本と、選ぶときの注意点を整理する。
配当利回りの読み方
「配当利回り」は、株価に対して年間いくら配当が出るかの割合だ。たとえば株価$100で年$4の配当なら、利回りは4%になる。
注意したいのは、利回りは株価が下がると上がることだ。会社の業績が悪化して株価が急落すると、見かけの利回りだけが跳ね上がる。
利回りが異常に高い銘柄は、「お買い得」ではなく「市場が将来の減配を織り込んでいる」サインのこともある。高ければ良い、という単純な話ではない。
実際の数字を見てみる
当サイトが2026年9月2日時点で集計した利回りは、こうなっている。
- コカ・コーラ (KO) 2.36% / ジョンソン・エンド・ジョンソン (JNJ) 1.95% / プロクター・アンド・ギャンブル (PG) 2.94%
- ベライゾン (VZ) 5.56% / アルトリア (MO) 6.09% / ファイザー (PFE) 6.02%
意外に思うかもしれないが、名門と呼ばれる会社の利回りは2%前後にとどまる。株価が上がってきた結果、利回りの数字としては低くなっているからだ。
では5%を超える会社は危ないのか。当サイトの財務の判定を並べると、答えは「会社による」だ。
- アルトリア (MO) 6.09% ── 財務の判定は債務超過。負債が資産を上回っている
- ファイザー (PFE) 6.02% ── 財務の判定は健全。借金の重さにも支払い余力にも引っかかりがない
- ベライゾン (VZ) 5.56% ── 財務の判定は標準。危ない兆候はないが、余裕が特別厚いわけでもない
同じ6%前後でも、財務の姿はまるで違う。利回りの高さは、その会社の危なさも安全さも表していない。数字を見たら、必ずその裏側を確かめることになる。
大事なのは「配当を払い続けられるか」
高配当株を選ぶときに本当に見るべきは、利回りの数字より「その配当を無理なく続けられるか」だ。見るポイントは主に2つ。
- 配当性向: 利益のうち何割を配当に回しているか。これが高すぎる(利益のほとんどを配当に回している)と、業績が少し傾いただけで減配に追い込まれやすい。
- 稼ぐ力の安定: 景気に左右されにくい事業か。生活必需品や通信のように、不況でも需要が大きく減らない事業は、配当も安定しやすい。
逆に、利益が大きく上下する業種は、配当も増えたり減ったりしやすい。
減配というリスク
配当は「約束」ではない。業績が悪化すれば、会社は配当を減らす(減配)こともある。高配当株を持つうえで一番こたえるのが、この減配だ。株価が下がるうえに、目当ての配当まで減る。
実例もある。かつて高配当の代表格だったAT&T (T)は、2022年にワーナーメディアの分離にあわせて年間配当を$2.08から$1.11へおよそ半分に減らした。
連続増配の記録はそこで途切れた。その後は据え置きが続いており、当サイトの集計でも連続増配は0年のままだ。
だからこそ、利回りの高さだけで飛びつかず、「なぜその利回りなのか」を確かめることが要る。
どんな会社が並ぶか
米国の配当株の代表格を3つ挙げるなら、こうなる。生活必需品のコカ・コーラ (KO)、医療・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン (JNJ)、エネルギーのエクソンモービル (XOM)だ。いずれも景気に左右されにくい事業を持つ。
コカ・コーラがなぜ安定して稼ぎ続けられるのかは、コカ・コーラは何でこんなに稼いでいるのかで構造から読み解いている。
何年連続で配当を増やしてきたかは連続増配の一覧で確かめられる。KO・JNJ・PGはいずれも54年以上だ。主な高配当銘柄の顔ぶれは米国高配当株のまとめで、事業の安定度と弱点から読み比べられる。
利回りの数字だけでなく、それぞれの「性格」を見てから選ぶことをすすめたい。配当がいつ・どう支払われるかは権利確定日と権利落ちのしくみ、受け取った配当の活かし方は配当再投資とはで解説している。
本記事は仕組みの解説であり、特定の銘柄の購入をすすめるものではない。
