人工知能の広がりで、半導体株への関心が高まっている。だが「半導体」とひとくくりにすると見えなくなるものがある。同じ半導体でも、会社によって稼ぐ場所がまるで違うからだ。役割で整理してみる。
設計する会社
半導体の「頭脳」を設計する会社だ。自社では工場を持たず、設計に集中して、製造は外部の会社に任せることが多い。人工知能の計算に使うチップを設計する会社は、需要が伸びれば大きく稼げる一方、競争と技術の進歩が速い。
受託で製造する会社
設計された半導体を、実際に作る会社だ。巨大な工場と最先端の製造技術が要り、参入できる会社はごく限られる。設計する各社から注文を集めるので、半導体全体が伸びれば広く恩恵を受ける。一方で、工場への投資が極めて重く、景気の波で稼働が落ちると負担になる。
製造装置・材料の会社
半導体を作るための「装置」や「材料」を供給する会社だ。どの設計・製造の会社が勝っても、作る限りは装置が要る——いわば「ゴールドラッシュでつるはしを売る」立ち位置になる。近年は、チップを高密度に積む先端の技術が伸びの中心になっている。
弱点は共通する
役割は違っても、半導体株には共通の弱点がある。需要の波が大きく、好況と不況の差が激しいこと。スマホやパソコンの販売、データセンターの投資しだいで、業績が大きく上下する。人工知能の期待で買われすぎると、少しの失望で急落することもある。
崩れ方にも型がある
実際の値動きを見ると、半導体株の崩れ方にはいくつかの型がある。
第一に、業績が良くても「わずかな欠け」で売られる。AMDは2026年8月、売上が前年比50%増だったのに、利益率が市場の想定にわずかに届かなかったことなどから1日で7%下げた。高い期待が織り込まれた株ほど、この型で崩れやすい。
第二に、大口顧客の調達方針ひとつで前提が変わる。同じ日、巨額の人工知能投資を進めるスペースXが「今後はエヌビディア製品だけで作る」と表明し、併用されるはずだったAMDには逆風、エヌビディアには追い風と、買い手の一言が作り手の株価を逆方向に動かした。
第三に、装置の会社は顧客の投資計画に連動する。半導体を作る会社が工場への投資を絞ると、装置の注文はその何倍も鈍る。逆に投資局面では業界全体より大きく伸びる——増幅装置のような性格だと知っておくと、値動きの荒さに驚かずに済む。
銘柄で読み比べる
主要銘柄の顔ぶれは半導体株のまとめで一覧できる。同じ役割のライバル同士の性格の違いは、AMDとエヌビディア、TSMCとインテル、アプライドマテリアルズとラムリサーチ、シノプシスとケイデンス、テキサス・インスツルメンツとアナログ・デバイセズの読み比べで並べて確かめられる。数字ではなく崩れ方の癖から銘柄を絞りたいときは、性格で探すも使える。
本記事は仕組みの解説であり、特定の銘柄の購入をすすめるものではない。
