Goldman Sachs[GS]
2026.06.18夜は DJ する銀行家5 分で読める

デビッド・ソロモン

David Solomon
会長・CEO生年 1961米国・ニューヨーク州

M&A バンカー出身の Goldman Sachs CEO。消費者銀行参入の失敗と撤退、IPO 復活と AI バブル仲介で評価が分かれる経営者。週末は DJ 「D-Sol」として活動する二重生活も話題に。

投資銀行M&AWall Street

平日はマンハッタンで M&A ディールを差配し、週末はラスベガスやマイアミのナイトクラブで EDM を回す。Goldman Sachs CEO デビッド・ソロモンほど 二重生活が知られた銀行 CEO はいない。

我々は変わり続けないといけない。変わらない銀行が生き残った時代はない

デビッド・ソロモン

ソロモンが 2018 年に CEO に就任して以来、Goldman は 消費者銀行参入の挫折と撤退IPO・M&A の市場停滞、そして AI ブームでの仲介復活を経験した。株価は就任時から 2 倍超、時価総額 $316BWall Street の中では「最も話題になり続けた CEOだ。

01

ハートウィックの州立大から、M&A の現場へ

1961 年、ニューヨーク州生まれ。ハートウィック大学 という小規模リベラルアーツ校で政治学を学ぶ。アイビーリーグ卒業者が幅を利かす Goldman の経営層では珍しい経歴だ。卒業後に Irving Trust、Drexel Burnham Lambert、Bear Stearns と複数の中堅投資銀行を渡り歩き、1999 年に Goldman Sachs にパートナーとして入社

入社当初から レバレッジド・ファイナンスと M&A が専門。Goldman の M&A 顧問業務を率い、2006 年に共同責任者、2014 年に 投資銀行部門の共同責任者へ。2017 年に共同社長になり、2018 年 7 月に CEO 内定。10 月に ロイド・ブランクファイン(11 年間 CEO)の後任として就任した。

ブランクファインから引き継いだ Goldman は、リーマン危機以降ずっと「いつ伝統的な投資銀行モデルが壊れるか」という問いを抱えていた。トレーディング規制(ボルカー・ルール)、テック企業の IPO 減少、競合の Morgan Stanley が資産運用へ大胆に振った後だった。ソロモンは「消費者向け銀行 Marcus を中心に多角化する」と宣言した。

02

Marcus の失敗と、AI ブームの追い風

ソロモンの最大の賭けは 消費者銀行 Marcus だった。Apple Card の発行個人ローン預金口座Marcus ブランドのウェルス管理。2018〜2022 年に Goldman は何十億ドルもの投資をしたが、収益化はほとんどできず、累計損失は $30 億超。2022 年から段階的な撤退、2023 年に GreenSky(消費者ローン仲介)を $1.7B で売却、Apple Card も大幅縮小。

Goldman は投資銀行の DNA で消費者を経営できない」という業界の指摘がそのまま現実化した。ソロモン自身が「事業選択の判断を誤った」と公の場で認めたのは異例だった。

撤退後の Goldman は 投資銀行と資産運用に集中。2023 年後半からの AI スタートアップ・ブームで、IPO・M&A 仲介の手数料収入が劇的に回復。Arm、Reddit、CoreWeave、Cerebras などの IPO に主幹事として関与。2025〜2026 年は Goldman にとって 10 年ぶりの好業績期となっている。

03

DJ D-Sol と、銀行家の二重性

ソロモンを最も特徴づけるのは 副業として続けている DJ 活動だ。ステージ名「D-Sol」で EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)のリミックスを発表し、ラスベガスやマイアミのナイトクラブに登場した時期もあった。Spotify と SoundCloud に自作曲を上げ、Tomorrowland(世界最大級の EDM フェス)の関係者と交流

私の他の興味が、私の仕事の評価を変えてはならない

デビッド・ソロモン, on persona

これが Goldman 社内で問題化したのは 2023 年。「CEO が副業に時間を割きすぎている」という社内・社外の批判が高まり、ソロモンは 公式の DJ 活動を停止した。ただし完全に音楽を捨てたわけではなく、プライベートでは続けているとされる。

社内文化は 「フラットさより成果主義」を貫く。パートナー(管理職階級)の数を減らし、業績連動の報酬を強める方向で動いてきた。「ソロモンの会議は短いが、結論が出る」と社員は語る一方、「辞めるパートナーが多い」という批判もあった。

04

後継者の不在と、銀行業の構造変化

Goldman の最大のリスクは 後継者問題。共同社長を 2 名置く伝統があるが、現体制では ジョン・ウォルドロン(社長)マーク・ナックマン(CFO)デニス・コールマンマルコ・アルゴーリなどが候補。明示の指名はまだない。ソロモン本人は 63 歳で引退の話を否定し続けているが、市場の関心は強い

第二のリスクは 構造変化。トレーディングは規制と AI 自動化で利益率が縮小、IPO は AI ブーム終了後の反動が懸念される。Goldman の伝統的な収益源が継続するかは、5〜10 年で疑問符がつく状況だ。

そして Morgan Stanley との比較。Morgan Stanley は Smith Barney 統合と E*Trade 買収で 資産運用に大きく振った結果、Goldman より安定したフィー収入を確保している。「Goldman は投資銀行に戻った、安定はしたが多角化は遠のいた」と評する向きもある。

05

読み終わりに

ソロモンの面白さは、「失敗を公に認めた銀行 CEO」という稀少さにある。Marcus の挫折を「判断ミス」と語り、撤退戦を 2 年かけて完了させた。Wall Street で経営判断を CEO 自身が反省する姿は珍しく、それが結果的に株主の信任を保った。

Goldman Sachs の株を見るときは、四半期売上より IPO・M&A 案件の主幹事獲得率後継者発表のタイミングを読むと、見え方が変わる。ソロモンが残す最後の作品が AI 時代の投資銀行モデルなのか、それとも 次の多角化試行錯誤なのか — そこに次の 5 年が見える。

経営の一貫性

sodate 独自指標
総合スコア
61
株主目線の番人

9 年連続増配の規律。

直近 10 年の数字より
売上の伸び50
利益率の規律50
資本配分の規律83
連続増配
9 年
配当年比率
100%

デビッド・ソロモン 体制を含む過去の数字。売上成長率の標準偏差・営業利益率の標準偏差・配当規律の 3 軸を平均。 言葉の一貫性 (過去 10-K テキスト比較) は Phase 2 で追加予定。

公開情報(各社開示・公的資料・各種報道)を編集してまとめたものです。 人物評価には筆者の解釈を含みます。投資判断は別途、自身の責任で行ってください。