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マイケル・デル
Michael Dell
Dell Technologies[DELL]
時価総額 $311.9B創業者

三度、会社を作り替えた

マイケル・デルMichael Dell

創業者・会長兼CEO生年 1965米国・テキサス州ヒューストン
2026.07.135 分で読める内容確認 2026.08.26

19歳のとき大学の寮でパソコンの直販を始めた。上場をやめ、また上場し、いまはAI用サーバーの主要な作り手。会社の形を三度も組み替えてきた創業者である。

直販モデルAIサーバー創業者

経営の一貫性

sodate 独自指標
総合スコア
63
安定運転

目立つブレなく、地味に積み上げる。

直近 10 年の数字より
売上の伸び54
利益率の規律62
資本配分の規律74
売上 平均伸び
+7.8%±12.5pp
営業利益率
2.9%±4.1pp
連続増配
4 年
配当年比率
56%

マイケル・デル 体制を含む過去の数字。売上成長率の標準偏差・営業利益率の標準偏差・配当規律の 3 軸を平均。 言葉の一貫性 (過去 10-K テキスト比較) は Phase 2 で追加予定。

この記事の流れ(全5章)
  1. 0119歳が見つけた近道 — 店を通さない
  2. 02二度目 — 上場をやめて、中身を入れ替える
  3. 03三度目 — 稼ぎ頭がパソコンからAIサーバーへ
  4. 04売上は19%増えたのに、粗利率は下がった
  5. 05四度目があるとすれば

1984年、テキサス大学オースティン校の学生寮。医者になれと言われて入学した19歳が、部屋でパソコンを組んでは売っていた。元手は $1,000。店を通さず客へ直接届けるという思いつきが、40年後に年商 $113B の会社になる。

デル・テクノロジーズの創業者マイケル・デルは、いまも会長兼最高経営責任者として経営の椅子に座っている。

創業者が40年以上も舵を握る大企業は珍しい。株の約4割を持つ筆頭株主でもあり、外から辞めさせられる心配がない。

この記事は、彼が会社の形を作り替えた三つの場面を追う。

数字で読む
創業
1984
大学の寮、元手は $1,000
通期売上
$113.5B
2026年1月期、19%増
AIサーバー受注残
$43B
翌期へ持ち越した注文
創業者の持ち分
約40%
創業以来の筆頭株主
01

19歳が見つけた近道 — 店を通さない

1965年、テキサス州ヒューストン生まれ。父は歯科矯正医、母は証券の営業で、両親は息子を医者にしたかった。

だが本人の関心は早くからコンピュータにあった。分解しては組み直し、部品の値段を調べる子どもだった。

1984年5月、大学に入って数か月で会社を法人化する。19歳である。

やり方は単純だった。店頭に並べる代わりに、注文を受けてから組み立てる。あいだに入る販売店の取り分をなくし、その分を安く売った。

デルが最初に組み立てたのは、パソコンではなく売り方だった
客が注文する
部品の構成をその場で選ぶ
部品を取り寄せる
必要な数が作る前に分かる
組み立てて送る
店には並べない
売れ残りが出ない
値下がりする在庫を抱えずに済む
ふつうのメーカーは売れる数を予想して先に作り、店に並べる。デルは順番を逆にした

倉庫に積んだパソコンは、置いておくだけで価値が下がる。部品の値段が毎月下がる商売では、在庫そのものが損だった。

この一点で会社は伸びる。1992年、27歳のデルは米国の大企業500社を並べたフォーチュン500の中で、最年少の経営トップになった。

02

二度目 — 上場をやめて、中身を入れ替える

2000年代の後半、パソコンはスマートフォンに客を奪われ、デルの成長は止まった。

上場していると、三か月ごとに数字を市場へ説明しなければならない。大がかりな作り替えは、その説明としばしば衝突する。

テクノロジーは、変わるか死ぬかの世界だ

マイケル・デル

2013年10月、デルは投資会社シルバーレイクと組み、約 $24.9B を投じて自分の会社を買い戻した。株式市場から降りたのである。

金融危機のあと最大級の買収として騒がれた。値段が安すぎると訴えた株主もいた。

市場の外でやったのは、稼ぎ場所の移し替えだった。2016年、企業のデータを保存する装置の大手EMCを $67B で買収する。当時のIT業界で最大の買収だった。

パソコンを売る会社から、企業の計算設備を支える会社へ。組み替えを終えたデルは、2018年に市場へ戻った。

2021年には傘下のソフト会社ヴイエムウェアを切り離し、株主に配っている。デル本体は $9.3B を受け取り、借金の返済に充てた。

  1. 1965
    テキサス州ヒューストンで生まれる
  2. 1984
    大学の寮でパソコンの直販を始め、19歳で法人化
  3. 1992
    27歳でフォーチュン500企業の最年少トップに
  4. 2013
    約 $24.9B で自社を買い戻し、株式市場から降りる
  5. 2016
    データ保存装置の大手EMCを $67B で買収
  6. 2018
    ニューヨーク証券取引所へ再上場
  7. 2021
    ヴイエムウェアを分離、$9.3B を借金の返済へ
  8. 2026
    通期売上 $113.5B、AIサーバーの受注残 $43B
  9. 2026
    AI企業ボルタの $10B データセンター案件で機材の提供者に選ばれる
    株価は年初来260%超上昇し、8月4日に最高値を更新
03

三度目 — 稼ぎ頭がパソコンからAIサーバーへ

デルの売上は大きく二つに分かれる。個人や企業に売るパソコンと、企業の計算設備に置くサーバーや保存装置である。

長いあいだ前者のほうが大きかった。2026年1月期に、その関係がひっくり返った。

1年で、稼ぎの柱が入れ替わった
パソコンなど・2025年1月期$48.4B
計算設備・2025年1月期$43.6B
パソコンなど・2026年1月期$51.0B
計算設備・2026年1月期$60.8B
1年で40%増えた
通期売上。決算発表資料より。設備側のうちAI向けサーバーは $24.7B で、前の年の2.7倍に伸びた

伸ばしたのは、AIの計算をこなす専用のサーバーだ。デルはエヌビディアの半導体を積んだ機械を、大量に組み立てて出荷している。

ここで効いているのが、寮の一室でやっていたことの延長である。注文を受けてから、必要な数だけ素早く組んで届ける。

2026年1月期に受けたAIサーバーの注文は $64B を超えた。出荷が追いつかず、$43B が翌期へ持ち越されている。

04

売上は19%増えたのに、粗利率は下がった

ここが投資家の見どころになる。AIサーバーはよく売れるが、儲けの厚みが薄い。

機械の値段の多くは中身の半導体が占める。デルの取り分は、組み立てと調整の分しか残らない。

数字にはっきり出ている。売上に対する粗利益の割合は、2025年1月期の22.2%から2026年1月期は20.0%へ下がった。

計算設備の事業の営業利益率も12.8%から11.7%へ落ちた。売上が40%増えても、利益率は前より薄い。

「注文が多い」と「儲かっている」は別の話である。受注残 $43B は約束された利益ではなく、まだ組み立てていない機械の山にすぎない。

需要が急に冷えれば、その山は在庫に変わる。かつてデルが最も憎んだものだ。

05

四度目があるとすれば

会社は2027年1月期に、AIサーバーだけで約 $50B を売る計画を出した。実現すれば全社の売上は $140B に届く。

強気だが、前提は一つの流れに寄りかかっている。企業のAI投資が続くかどうかだ。

だからデルを見るときは、売上の伸びより粗利率を先に見たい。注文の多さは、もう誰の目にも見えている。

マイケル・デルは、稼ぎ方そのものを三度捨ててきた人である。四度目に何を捨てるのかは、まだ本人にしか見えていない。

出典:

  • Dell Technologies Form 10-K (fiscal 2026), U.S. Securities and Exchange Commission — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1571996/000157199626000008/dell-20260130.htm
  • Dell Technologies「Fourth Quarter and Full-Year Fiscal 2026 Results」Form 8-K Exhibit 99.1 — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1571996/000157199626000003/exhibit991earnings8kq4fy26.htm
  • Dell Technologies Form DEF 14A (2026年の株主総会招集通知) — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001571996/000119312526226734/d132444ddef14a.htm
  • Silver Lake「Dell Completes Go-Private Transaction」(2013年10月29日) — https://www.silverlake.com/dell-completes-go-private-transaction/
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