投資の世界で「いちばん大切」とよく言われるのが複利だ。名前は難しそうだが、中身は「増えた分が、次はさらに増える」というだけのこと。時間をかけるほど効いてくる、地味だが強力なしくみだ。
単利と複利のちがい
たとえば年に5%増えるとする。100万円を運用したとき、増え方には2通りある。
- 単利:毎年、最初の100万円に対してだけ5%(=5万円)が付く。10年で+50万円
- 複利:増えた分も翌年の元手に加わる。5万円が付いた翌年は105万円に対して5%が付く
差は最初こそ小さいが、年を追うごとに開いていく。増えた分がさらに増えを生む——これが複利で、「雪だるま」にたとえられる理由だ。転がすほど大きくなり、大きくなるほど転がる勢いも増す。
時間が最大の味方
複利のいちばんの燃料は、お金の量よりも時間だ。同じ利回りでも、10年より20年、20年より30年と、後半になるほど増え方が加速する。だから「少額でも早く始めるほうが、大金を遅く始めるより有利」という場面が起きる。
目安として「72の法則」がある。72を年利で割ると、お金が約2倍になるまでの年数が出る。年6%なら 72÷6=12年でおよそ2倍、というざっくりした早見だ。
複利を活かすために個人ができること
複利は自動では最大化されない。個人の側でできる工夫がある。
- 配当を使わず再投資する:受け取った配当をまた投資に回すと、複利の輪が回りやすい(配当再投資とはで詳しく)
- 手数料と税金を抑える:増えるスピードを削るのがコストだ。NISAのような非課税の器を使うと、複利がそのまま効く
- 途中で降りない:複利は後半に加速する。早く売ってしまうと、いちばんおいしい部分を手放すことになる
補足
複利は、派手さがないぶん見過ごされやすい。だが「時間を味方につける」という一点で、投資における最強の武器になる。コカ・コーラのように配当を長く増やし続ける会社を、非課税の器で、配当を再投資しながら長く持つ——複利の理屈を知っていると、なぜこの地味な組み合わせが強いのかが腑に落ちるはずだ。急がば回れ、を数字で裏づけてくれるのが複利だ。
