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マーク・ザッカーバーグ
Mark Zuckerberg
Meta Platforms[META]
時価総額 $1.47T創業者

二度賭ける男

マーク・ザッカーバーグMark Zuckerberg

共同創業者・会長・CEO生年 1984米国・ニューヨーク州ホワイトプレーンズ
2026.06.055 分で読める内容確認 2026.08.26

フェイスブックを世界最大の交流サイトに育てた創業者。議決権のおよそ6割を握り、誰にも止められない立場から、メタバースと人工知能へ二度の大きな賭けを打っている。

SNSAIVR/AR

経営の一貫性

sodate 独自指標
総合スコア
60
成長優先派

売上は伸ばせるが、利益率は揺れる。

直近 10 年の数字より
売上の伸び81
利益率の規律47
資本配分の規律53
売上 平均伸び
+25.4%±13.3pp
営業利益率
39.4%±6.7pp
連続増配
2 年
配当年比率
50%

マーク・ザッカーバーグ 体制を含む過去の数字。売上成長率の標準偏差・営業利益率の標準偏差・配当規律の 3 軸を平均。 言葉の一貫性 (過去 10-K テキスト比較) は Phase 2 で追加予定。

この記事の流れ(全5章)
  1. 01賛成が要らない会社
  2. 02歯科医の息子と、寮の一室
  3. 03一度目の賭けは、社名まで変えた
  4. 04二度目の賭けで、配るのをやめた
  5. 05この人の通信簿は、どこに出るか

止められる人がいない。マーク・ザッカーバーグという経営者は、この一点から読むと分かりやすい。

彼が持つメタの株は、全体の1割台にすぎない。それでも株主総会の議決権は、およそ6割を握る。

普通の会社なら、大きな損を出した経営者は株主に止められる。この会社では止まらない。

その構造が、22年の在任で二度の大きな賭けを可能にした。一度目はメタバース、二度目は人工知能である。

数字で読む
創業からの年数
22
2004〜
時価総額
$1.5T
世界10位級
本人の議決権
61%
出資は1割台
売上に占める広告
97.6%
2025 年通期
01

賛成が要らない会社

メタの株は2種類ある。誰でも買えるA株は1株1票、創業者側が持つB株は1株10票である。

ザッカーバーグはこのB株をほぼ独り占めしている。出したお金は1割台でも、票の6割が彼の手にある。

出したお金の割合と、決められる力の割合
本人の出資の割合約14%
本人の議決権の割合約61%
総会の議案はここで決まる
10票の株を創業者がほぼ独占しているため、この差が生まれる。数字は2026年の委任状資料(株主総会の招集資料)による

これは投資家にとって両刃だ。長い目の投資を貫ける代わりに、外れた判断を外から正す手立てがない。

以下の物語は、その力を彼が何に使ってきたかの記録である。

02

歯科医の息子と、寮の一室

1984年、米国ニューヨーク州ホワイトプレーンズ生まれ。父は歯科医、母は精神科医だった。

子供の頃から計算機の仕組みに夢中で、12歳のときに父の医院用の連絡ツールを自作している。

2002年にハーバード大学へ進み、心理学と計算機科学を並行して学んだ。

2004年2月、寮の部屋で交流サイト「TheFacebook」を公開する。19歳だった。翌年に大学を辞め、西海岸へ移る。

速く動いて、壊せ

マーク・ザッカーバーグ

この言葉は当時の社内の標語になった。完璧を待たずに出し、走りながら直す。その姿勢が急拡大を支えた。

同じ姿勢は買い物にも出た。伸びる前の会社を、まだ安いうちに丸ごと買う。インスタグラムとワッツアップがその代表例である。

  1. 1984
    ニューヨーク州ホワイトプレーンズで生まれる
  2. 2002
    ハーバード大学へ進学
  3. 2004
    寮の部屋で TheFacebook を公開(19 歳)
  4. 2005
    大学を中退し、西海岸で本格運営へ
  5. 2012
    株式を公開、インスタグラムを $1B で買収
  6. 2014
    ワッツアップを $19B、オキュラスを $2B で買収
  7. 2018
    個人データの流出問題で米議会に呼ばれる
  8. 2021
    社名をメタに変更、仮想空間に賭けると宣言
  9. 2023
    「効率の年」と称し、2 年で約 2 万 1 千人を削減
  10. 2025
    スケール AI に $14.3B を出資、超知能研究所を新設
  11. 2026
    自社モデル「ミューズ・スパーク」公開、設備投資は最大 $135B 計画
  12. 2026
    「万人のための超知能」を掲げた書簡を公開 (8 月)。同日、小型モデルは重みごと無償公開
03

一度目の賭けは、社名まで変えた

2021年10月、会社の名前をフェイスブックからメタへ変えた。次の主戦場は仮想空間だと宣言したのである。

仮想空間の部門(リアリティラブズ)には、頭にかぶる端末と、その中の世界を作る仕事が集まる。

結果は苦しい。2025年の通期だけで、この部門の営業損失は $19.2B に達した。2020年からの累計では $80B を超える。

売る側の数字はまだ小さい。同じ年にこの部門が売り上げた額は $2.2B で、損失の8分の1にも届かない。

一方で本体は稼ぎ続けた。フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップを束ねたアプリ群の営業利益は $102.5B である。

2025年、稼いだ部門と溶かした部門
アプリ群の営業利益$102.5B
仮想空間部門の営業損失-$19.2B
6年続けて赤字
アプリ群の利益がなければ、この規模の損失は6年も続けられない。数字は会社の2025年通期決算

ここが投資家の見どころだ。賭けの元手は、広告という一本の柱から出ている。

2025年の売上 $201.0B のうち、広告は $196.2B。全体の97.6%を占める。

市場はこの賭けを一度罰した。2022年の1年間で、株価は6割以上下がっている。

それでも路線は変わらなかった。変えさせる票が、社外になかったからである。

04

二度目の賭けで、配るのをやめた

2023年から軸足が動く。対話型の人工知能で先を越され、ザッカーバーグは意外な道を選んだ。

人工知能の中身(モデル)を無償で配る道である。「ラマ(Llama)」と名付け、誰でも使える形にした。

オープンソースの人工知能こそが、進むべき道だ

マーク・ザッカーバーグ(2024年の公開書簡)

狙いは明快だった。土台を広く握ってしまえば、他社の閉じた仕組みに囲い込まれずに済む。

ところが2025年に方針が動く。人工知能の教材を作る会社スケールAIへ $14.3B を出資し、その創業者を招いて新しい研究所を置いた。

2026年4月に出した自社モデル「ミューズ・スパーク」は、中身を公開していない。「配って広げる」から「抱えて競う」への方向転換である。

ただし配る道を完全に閉じたわけではない。2026年8月、超知能は一部の企業や政府に独占させず誰の手にも届けるべきだ、と説く書簡を公開した。同じ日、小型のモデルは重みごと無償で出している。看板の大型モデルは抱え、足元の小型モデルは配る。二段構えという説明である。

そして賭け金が跳ね上がった。設備投資は2025年に $72B。2026年は最大 $135B を計画している。

設備投資の額が、賭けの本気度を示す
2025年の実績$72B
2026年の計画最大 $135B
計算機と用地の購入が中心
2026年の計画は会社が示した見通しの幅の上限。2025年の売上 $201B と比べても、その6割を超える大きさになる

一度目の賭けと違い、今度は本業の広告に直結する。人工知能が広告の当たり具合を上げれば、投資はその日から回収に向かう。

ただし外れたときの穴も、前より深い。金額の桁が上がったぶんだけ、戻すのに時間がかかる。

05

この人の通信簿は、どこに出るか

ザッカーバーグの強みは、賭けを何年でも続けられることだ。そして同じ性質が、いちばんの弱点でもある。

止める仕組みがないので、外れた賭けは彼が自分で降りるまで終わらない。仮想空間の6年がその実例である。

だからメタの株を見るとき、広告売上の伸びだけを追っても足りない。

見るべきは3つある。設備投資が利益をどれだけ削っているか。人工知能が広告の成果を実際に押し上げているか。仮想空間部門の赤字が縮み始めたか。

この3つが同時に良くなった四半期が、二度目の賭けが当たったと言える最初の証拠になる。

出典:

  • Meta Platforms, Inc. Form 10-K (fiscal 2025), U.S. Securities and Exchange Commission — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1326801/000162828026003942/meta-20251231.htm
  • Meta Platforms, Inc. 2026 Proxy Statement (DEF 14A), U.S. Securities and Exchange Commission — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1326801/000162828026025532/meta-20260416.htm
  • Meta Reports Fourth Quarter and Full Year 2025 Results — https://investor.atmeta.com/investor-news/press-release-details/2026/Meta-Reports-Fourth-Quarter-and-Full-Year-2025-Results/default.aspx
  • Meta Newsroom「Introducing Muse Spark」 — https://about.fb.com/news/2026/04/introducing-muse-spark-meta-superintelligence-labs/
  • Meta Newsroom「The Future is for Everyone」(2026年8月10日) — https://about.fb.com/news/2026/08/the-future-is-for-everyone/
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