世界でいちばん時価総額の大きい会社が、社長を替えた。
9月1日付で、ジョン・ターナス氏がアップルの最高経営責任者に就いた。ティム・クック氏の15年が、この日で終わっている。
クック氏は会社を去らない。取締役会の執行会長として残り、各国の政策担当者との折衝などを引き続き担う。
交代は4月に決まっていた。市場が驚く材料ではない
この人事は4月に発表され、取締役会が全会一致で承認していた。夏のあいだクック氏がCEOのまま引き継ぎを進め、9月1日に切り替わる段取りである。
つまり、この日に新しい情報が出たわけではない。予定どおりに日付が来ただけだ。
それでも値動きは大きかった。
ナスダックが1.03%安の日に、2.61%高で終えた
アップルはこの日2.61%高の$325.13で引けた。同じ日、ナスダックは1.03%安、情報技術セクターは11業種で最下位の2.60%安である。
売られる理由は揃っていた。日本の10年債が30年ぶりに3%へ乗り、米30年債は5.27%まで上がっている。金利上昇の日は、評価倍率の高い大型テックから売られるのが普通だ。
その日にアップルだけ上げたことのほうが、交代の受け止め方を語っている。
ハードウェアの人がハードウェアの会社を継いだ
ターナス氏は2001年に製品デザインの部門でアップルに入り、2013年にハードウェア開発の副社長、2021年に上級副社長になった。
iPhone も Mac も、この人の下で形になってきた。ソフトやサービスの出身ではなく、装置を作る側から上がってきた経営者である。
就任の日に社員へ送った最初のメモでは、直近のiPhoneの立ち上がりを「素晴らしい」と表現したと伝えられた。
見ておくべきは、AIの遅れをどう詰めるか
引き継いだ課題ははっきりしている。生成AIで先行する競合に対して、アップルの端末側の機能は追う立場にある。
装置の作り手が率いる会社が、その差をハードウェアで詰めにいくのか、外の技術を借りるのか。最初の1年で方針が見えるはずだ。
この日の市場全体の動きは朝刊にまとめている。
