エヌビディアについて語られるとき、最初に出てくるのはたいてい「AI向けの半導体(GPU)を作る会社」という説明だ。実際、生成AIのブームで同社のチップは奪い合いになった。
だが、エヌビディアの強さを本当に支えているのは、チップそのものだけではない。その「上に乗っているソフト」にある。
つるはしを売る立場
ゴールドラッシュで最も確実に儲けたのは、金を掘った人ではなく、つるはしやジーンズを売った人だった——という有名なたとえがある。いまのAIブームで、エヌビディアはまさにその「つるはしを売る」立場にいる。
どの企業がAI競争に勝つかはわからない。だが、勝とうとする企業はどこも、大量の計算能力(GPU)を必要とする。だからエヌビディアは、特定のAIサービスが当たるかどうかに関係なく、AIに賭ける企業が増えるほど売上が伸びる。
「乗り換えづらさ」はソフトにある
エヌビディアの本当の堀は、チップの性能そのものより、ソフトの囲い込みにある。
長年かけて、AIや科学計算の開発者たちは、エヌビディアの提供するソフトの土台(CUDA)の上でプログラムを書いてきた。膨大なツールや資産がその上に積み上がっているため、他社のチップに移ろうとすると、性能が多少良くても、作り直しの手間が重くのしかかる。
この「開発者が離れられない状態」は一朝一夕には作れない。ハードだけを真似ても越えられない壁が、ここにある。
崩れるとしたらどこか
このモデルが崩れるとしたら、方向はいくつかある。
ひとつは、巨大IT企業が自前のAIチップを本格的に使い始め、エヌビディア離れが進む場合。最大の顧客が競合になりうる、という構図だ。
もうひとつは、AIへの投資そのものが一服する場合。企業が設備投資を絞れば、つるはしの需要も細る。実際、相場では「AI投資はいつまで続くのか」という不安が、たびたび株価を大きく揺らしてきた。
まとめ
エヌビディアを「速いチップの会社」として読むと、いつか性能で追いつかれる会社に見える。だが「AIのつるはしを売り、開発者を囲い込む会社」として読むと、話が変わってくる。
数字を追う前に、この「ハードとソフトの二重の堀」を意識してみると、同社の決算のどこを見るべきかが見えてくるはずだ。
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