長らく「AIの追い風を最も安全に受けられる」とされてきた業界の足元が揺れた。中国のAI企業ムーンショットの最新モデル「Kimi K3」が、市販の専用設計ソフトを一切使わず、オープンソースのツールだけでチップ設計を48時間で自動完了したと伝わった。ケイデンスは9%超、シノプシスは8%近く急落した。
何が起きたのか
Kimi K3は2.8兆パラメータの大規模モデルで、人手を介さない48時間の自動実行により、チップの設計から検証までをやり遂げたという。使ったのは無償公開されている45nm世代の設計ライブラリとオープンソースのツールだけ。面積4mm²・動作周波数100MHzの小さなチップだが、「専用ソフトなしで一連の流れが完結した」ことが衝撃だった。
なぜ2強が売られたのか
ケイデンスとシノプシスは、半導体設計に不可欠な設計自動化ソフト(EDA)をほぼ2社で分け合ってきた。投資家が描いてきた成長シナリオは「チップが複雑になるほど、高価な専用ソフトへの依存が深まる」というもの。AIがその専用ソフトを飛び越えて見せたことで、この前提に初めて具体的な疑問符が付いた。
ただし冷静な見方もある。実演に使われた45nmは最先端から数世代前の工程で、最新チップの設計では2社のツールの優位はなお厚い。当面の収益への影響は限られるとして、押し目買いを勧めるアナリストもいる。
何を見ておくべきか
注目は、AIとオープンソースの設計フローがどこまで最先端工程に迫れるかだ。Kimi K3の中身(重み)は7月27日に公開予定で、外部による追試が広がる。2社が自社ツールへのAI組み込みで先回りできるかも含め、堀の深さが試される局面が続く。
出典: Yahoo Finance(7/17・Kimi K3が48時間でチップ設計、ケイデンス・シノプシス安) / Seeking Alpha(7/17・EDA混乱リスクで2社安、BNPは押し目買い推奨) / Wccftech(7/17・Kimi K3、48時間でチップを構築)
