株式市場が買い戻しに沸いた木曜、為替市場では別の急変が起きていた。円の急騰だ。
ドル円は159.48円と、1日で2.34%の円高。一時は158円台前半まで円が買われ、報道ではドルの対円での下げとして2022年以来の大きさとされる。数か月かけて163円台まで進んだ円安が、数時間で巻き戻った。
タイミングが観測を呼んだ。金曜には日銀の金融政策決定会合の結果が出る。その前日に、ロンドン時間から大規模な円買い注文が入ったことで、市場では「政府・日銀による円買い介入ではないか」という見方が広がった。日本経済新聞やブルームバーグも介入観測として報じている。ただし、財務省・日銀による公式な確認はない。介入は後日の統計で判明することが多く、現時点では観測にとどまる。
トヨタADRと、日本で稼ぐ米国企業に効く
円高は、米国市場にいくつかの経路で効いてくる。
まず日本株のADRだ。前日まで「円安による業績上振れ」を理由に買われていたトヨタのような銘柄は、前提が反対に動く。トヨタは会社想定1ドル150円に対して実勢が163円台という余裕があったが、159円台まで縮むと上振れ幅の計算が変わってくる。
次に、日本で稼ぐ米国企業。日本の売上をドルに換算するとき、円高はプラスに働く。逆に、日本から輸入する部材のコストは上がる。効き方は会社ごとに逆向きで、決算の「為替の影響」の行にしか現れないが、2%を超える1日の変動は無視できる大きさではない。
金曜の日銀会合が本番
この急変の答え合わせは、すぐに来る。金曜の日銀会合で利上げがあれば、円高は「介入」ではなく「金利差の縮小」という、より長持ちする理由を得る。据え置きなら、この2.34%は当局の意思表示だけが支えということになり、揺り戻しも起こり得る。
いずれにせよ、163円の前提で組まれた輸出企業の計画と、円安を追い風にしてきたADRの物語は、金曜の結果次第で書き直しになる。株の決算週の裏で、為替も自分の決算週を迎えている。
