売りの物語は、たいてい反対の数字で終わる。メモリ株の5日目がそうだった。
マイクロンは18.36%高の$874.66。前日までの4営業日で約25%売られた銘柄が、1日でその大半を取り返した。サンディスクは25.99%高。こちらは中国CXMTの上場に始まった売りで4割超沈んでいた分、戻りも最も激しかった。
きっかけは2つ重なっている。1つは前夜のマイクロソフト決算で、AIインフラへの投資が契約済みの需要に裏付けられていることが示され、AI関連全体の買い戻しが始まったこと。もう1つが、木曜朝の韓国サムスン電子の決算だ。
営業利益19倍と「2028年まで」
サムスンの4〜6月期は、営業利益が前年比およそ19倍という異常な伸びになった。メモリ価格の急騰がそのまま利益になった形だ。そして同社の幹部は決算説明で「メモリの供給制約は2027年にさらに厳しくなり、不足は2028年まで続く」と明言し、データセンター大手との複数年供給契約にも言及した。
今週メモリ株を沈めてきたのは「中国CXMTの増産で、メモリの高値相場が早く終わる」という筋書きだった。現役最大手が「作っても足りない状態が2年続く」と数字付きで言ったことは、その筋書きへの最も強い反証になる。中国の新工場が価格を崩す未来と、供給が足りない現在。市場は木曜、現在の方に値段を付け直した。
装置は自前の決算で上げた
ラムリサーチの17.98%高は、連れ高だけではない。水曜引け後の自社決算が売上$6.72B(前年比30%増)と過去最高で、次の四半期の売上見通し$8.10B前後は市場予想を14%近く上回った。CEOは需要の主因をAIと明言している。中国の装置国産化の報道で3日売られた装置株にとって、「注文は増え続けている」という自社の数字が何よりの回答になった。
ただし、これで論争が終わったわけではない。サムスンの「不足は2028年まで」は現時点の需給の話で、CXMTの増産が効いてくるのはその先かもしれない。売りの筋書きと買いの筋書きは、時間軸が違うだけで両立し得る。この5日間の往復は、メモリ株がその2つの時間軸の間で値段を探している最中だということを示している。
