売りが5日続くかに見えた木曜、市場は逆向きに走った。ナスダックは2.78%高、S&P 500は1.66%高、ダウは1.19%高。VIXは17.09へ下がり、前日の警戒はほどけた。
起点は、水曜の引け後に出たマイクロソフトの決算だ。売上は$90.0Bで前年比18%増。クラウドのAzureは43%増と、会社自身の計画(39〜40%)を超えて加速し、年間売上は初めて$100Bを超えた。そして市場が最も欲しかった数字が受注残で、前年比84%増の$678B。「AIへの投資は、すでに契約された需要に裏付けられている」という反論を、そのまま数字にした形だ。
今週の相場を沈めてきたのは「AI投資は身内で資金を回しているだけではないか」という疑いだった。その疑いの最大の受け皿が、この決算で崩れた。マイクロソフトは15.51%高。1日で時価総額が約$483B増え、報道では2008年以来最大の上げ幅とされる。
3つのポイント
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メモリと装置が総買い戻しになった:4日で約25%売られたマイクロンは18.36%高、サンディスクは25.99%高。木曜朝には韓国サムスン電子が決算で営業利益が前年比約19倍になったと発表し、「メモリの供給制約は2028年まで続く」と明言した。売られ続けた「中国の増産で値崩れ」の筋書きに、真っ向から逆の材料が入った。装置のラムリサーチは自社決算も過去最高で、次の四半期の売上見通しが市場予想を14%近く上回り17.98%高。AMDが13.00%高、インテルが11.30%高と、半導体はほぼ全面高になった。
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メタだけが逆向きに落ちた:メタは7.95%安。決算の売上は28%増と好調だったが、AIインフラへの設備投資が$31.1Bと前年の約2倍に膨らみ、手元に残る現金は$784Mまで急減。1株利益は市場予想に届かず、通年の設備投資見通しも引き上げた。マイクロソフトが「AI投資の回収」を示した同じ夜に、メタは「AI投資の支出」だけが見えた。同じテーマの決算が、正反対の値段になった。
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円が2.34%の急騰:ドル円は159.48円まで円高が進み、一時は158円台前半をつけた。金曜の日銀会合を前に、政府・日銀による円買い介入の観測が広がったためで、報道では2022年以来の大きさとされる。ただし当局の公式な確認はない。金は3.17%高の$4,162と高値圏を更新しており、ドル安と中東の火種が支えになっている。
買い戻しの外側で売られたものもある。大型の薬からは資金が抜け、ジョンソン・エンド・ジョンソンは買収2件の費用で通年の利益見通しを下げたことも重なって3.66%安。イーライリリーは4.55%安だった。アルナイラムは主力薬の売上が予想に届かず通年見通しを下げ、28.31%安と大型株最大の下げになった。
前号で宿題にしたアームの決算は、売上$1,289Mで22%増、利益も予想を超えた。データセンター向けの使用料が前年比2倍超と中身は強く、スマートフォンの減速で見通しは慎重になったものの、この日の地合いに乗って7.40%高で決着した。シェルも朝の決算で調整後利益$9.84Bと予想を上回り、自社株買いの再開を発表して2.46%高。
5日ぶりの反転は、下げの理由が消えたからではなく、下げの前提に反証が出たから起きた。中国の増産も、AI投資の資金循環も、疑い自体は残っている。ただ「契約済みの受注残$678B」という数字は、当分のあいだ反論の側の最強のカードになる。
