決算の数字だけ見れば、アップルの四半期は良かった。売上$109.4Bで前年比16%増、iPhoneは$54.3Bで22%増、粗利率は50.1%。1株利益も29%伸びている。
それでも株価は7.35%安、時価総額にして数千億ドルが1日で消えた。売られたのは終わった四半期ではなく、次の四半期の見通しのほうだ。売上の伸びは9〜11%と市場の想定に届かず、粗利率は47〜48%と実績から2ポイント以上落ちる。
粗利率2ポイント分を削ったのはDRAM
説明会でティム・クックが挙げた理由は、需要の弱さではなかった。メモリと先端半導体の供給制約が「非常に大きい」というのだ。彼はDRAMの需給を「100年に一度の洪水」と表現している。
つまりアップルは、作りたいのに部品が高くて足りない。スマートフォンには大量のメモリが載る。その価格が上がれば、1台あたりの利益は削られる。世界最大級の購買力を持つ会社でさえ、逃げられなかった。
ここで思い出したいのが、この同じ週にメモリ株を押し上げた材料だ。木曜、韓国サムスン電子が「メモリの供給制約は2028年まで続く」と述べ、マイクロンは18.36%高になった。作る側にとって「不足が続く」は値上げが続くという意味で、買う側にとっては原価が上がり続けるという意味になる。同じ1つの見通しが、売り手の株価を上げ、買い手の株価を下げた。
買い手の反撃も始まっている
面白いのは、クックが原価の話で終わらなかったことだ。同じ説明会で彼は「供給者がもっといれば、供給の面でも価格の面でも助かる」と述べ、調達先を広げるあらゆる選択肢を検討していると公言した。
この発言は翌日に効いた。金曜のマイクロンは5.90%安。前日の急騰の反動もあるが、最大級の買い手が「供給者を増やしたい」と言った事実は、メモリメーカーの価格支配力に疑問符を付ける。実際、アップルが中国メーカーからの調達許可を米政権に求めているという報道も今週出ていた。
不足が続くという売り手の主張と、調達先を増やすという買い手の動き。この綱引きの結果が、来期以降のメモリ価格を決める。アップルの粗利率の行方も、マイクロンの利益の行方も、同じ1本の綱の両端にある。
