8月の頭、市場は「ホルムズ海峡の再開合意が近い」という当事者の言葉で原油を2日で1割売った。当時の朝刊はこう書いている——実際に船が通るまでは、この値段は言葉の上に立っている。
月曜、その言葉が崩れた。トランプ大統領は日曜に「イランとは半分だけ交渉している状態」と述べ、イラン側は海峡の管理権の維持、通行料の徴収、制裁の解除を再開の条件として要求していることが伝わった。米国が受け入れを拒む条件が並び、早期再開への期待は後退。WTI原油は5%急騰して$82.13、ブレントは$87.72になった。
メジャー5社は4〜6月期に合計$48Bを稼いだ
原油高はそのままエネルギー株の買いになった。シェブロンが4.48%高、エクソンモービルが4.41%高。原油の値段に業績が直結するAPAは9.01%高と上げが大きい。石油大手5社は燃料価格の上昇を追い風に、4〜6月期だけで合計$48Bを稼いでおり、封鎖の長期化は当面の利益を押し上げる方向に働く。
変わり種はシェニエール・パートナーズの3.96%高だ。ホルムズ海峡は世界のLNG輸送の約2割を占めるカタール産の通り道で、封鎖以降カタールの積み出しが止まっている。海峡を通らずに欧州・アジアへ売れる米国産LNGの輸出拠点を持つ同社には、海峡が閉じているほど注文が向かう構図になる。
言葉で1割下げ、5%戻した2週間
この2週間の原油は、合意期待の言葉で1割下げ、停滞の言葉で5%戻した。船はまだ一隻も通っていない。実物が動かないまま言葉で往復する相場は、次の言葉でまた逆に振れる。エネルギー株の急な上げ下げは、この構図ごと理解しておきたい。
