金利は動かなかった。動いたのは票の内訳だ。
水曜のFOMCは政策金利を3.50〜3.75%に据え置いた。だが投票は9対3。ハマック、カシュカリ、ローガンの3人の連銀総裁が、据え置きに反対して0.25%の利上げを主張した。
3票の反対は、数として多いだけではない。インフレが目標の2%を上回り、原油が1日で7%上がる日にこの内訳が出たことで、市場は「中央銀行の中でさえ、インフレはまだ終わっていないと考える人が増えている」と受け取った。長期金利は上がり、10年債利回りは4.62%。株はダウ2.19%安、S&P 500が1.52%安、VIXは20.66まで上がった。
据え置きは普通、株には優しい判断だ。それでも売られたのは、据え置きの中身が「利上げの気配」を含んでいたからにほかならない。
SAP3.81%高・トヨタ3.51%高の逆行
こういう日に上がった銘柄には、共通点がある。買われる根拠を自分で持っていたことだ。
SAPは3.81%高。先週の決算でクラウドの受注残が前年比27%増と過去最高を更新したうえ、月曜から最大26億ユーロの自社株買いの第2弾が実際に市場で始まっている。相場全体が売られても、毎日決まって買う主体がいる銘柄は下がりにくい。
トヨタのADRは3.51%高。同じ日の東京市場でトヨタ本体が7%超上げた流れを引き継いだ。AI関連の調整で世界の資金が割安株へ移る中、株価が資産価値を下回る水準に放置されてきた日本の自動車株が受け皿になり、円安による業績の上振れ期待も重なった。
「据え置き=安心」ではなくなった
今回のFOMCが残したものは、次回への宿題だ。反対票が3つ出た以上、次の会合までに出るインフレの数字と原油の値段が、そのまま利上げの確率に換算される。原油が$84に乗ったまま夏を越すなら、この3票は増えるかもしれない。
株式市場にとっての意味はシンプルで、「金利はもう下がるだけ」という前提で買われてきた銘柄ほど、この宿題の影響を受けやすい。FOMCの票の割れ方は、地味に見えて、相場の前提を1つ揺らした。
