水曜の米国株は逃げ場のない下げになった。ダウは2.19%安の51,594.14ドル、S&P 500は1.52%安、ナスダックは1.74%安。恐怖指数と呼ばれるVIXは20.66へ上がり、久しぶりに20の大台に乗った。
震源は2つあり、どちらもワシントンと中東にある。
1つはFOMCだ。政策金利は3.50〜3.75%で据え置かれたが、投票が9対3に割れ、3人の連銀総裁が0.25%の利上げを主張した。インフレが目標の2%を上回り、原油まで急騰している中での据え置きに、市場は「インフレ対応が後手に回るのではないか」という読みで応じた。長期金利は上がり、10年債利回りは4.62%。株は午後に下げ幅を広げた。
もう1つは中東だ。サウジアラビアの石油施設への攻撃を受けて、米国とサウジがイラク国内のイラン系武装勢力を空爆し、ホルムズ海峡の通航への影響も続いた。業界統計では米国の原油在庫が約330万バレル減っていたことも重なり、WTI原油は6.74%高の$84.60まで走った。金も2.22%高の$4,126と、逃げ先の匂いがする値動きだ。
3つのポイント
-
エネルギーだけが上がった:11セクターで上昇はエネルギー(+0.82%)のみ。エクソンモービルが2.42%高、シェブロンが2.28%高、シェルが2.48%高。エクソンは7月上旬の開示資料で、原油高が4〜6月期の利益を部門合計で数十億ドル押し上げると自ら示しており、金曜の決算への期待も乗った。最悪は資本財の3.03%安だった。
-
決算の負け組は「AIの周辺」に集中した:空調のレノックスは住宅向けの不振で通期の利益見通しを引き下げ20.97%安。空調卸のワツコも利益が予想を下回り12.92%安。データセンターの電源と冷却を担うバーティブは、売上が市場の期待に届かず「案件の時期ずれ」と説明して17.26%安。キャタピラーまでデータセンター建設の規制拡大を理由にした格下げで6.91%安と、AIを支える裏方の弱さが目立った。
-
勝ち組は本業の数字で買われた:ガーミンは売上が四半期記録で通期見通しも引き上げ16.23%高。自動車販売のリシアは過去最高の売上と23%の増配で19.30%高。マンハッタン・アソシエイツが21.32%高、コグニザントが11.25%高と、人手のITサービスにも決算の追い風が続いた。全面安の日でも、数字を出した会社は買われている。
メモリの売りは4日目に入った。マイクロンは9.94%安の$739.00で、7月23日からの下げは約25%に達した。この日は韓国でSKハイニックスの決算が過去最高益でも市場予想に届かず、アジアの半導体売りが続いた。マイクロン自身にも、CEOの株売却の開示と、アップルが中国製メモリの調達許可を求めているという報道が重なっている。装置のアプライドマテリアルズも8.40%安と3日続落した。
アームはこの日の引け後に決算を発表する日程で、場中は持ち高を減らす売りに押され8.11%安。結果と市場の反応は次号で扱う。
利上げを主張する票と、原油の急騰。この2つは同じ問いにつながっている——インフレは本当に収まっているのか。木曜以降は、石油大手の決算と中東の続報がその答えの材料になる。
