水曜にいちばん深く売られたのは、半導体ではなく「温度を管理する会社」だった。
空調大手のレノックスが20.97%安。朝の決算で、住宅用空調の売上が前年比7%減と落ち込み、通期の利益見通しを引き下げた。商業用は24%伸びたが、住宅市場の回復の遅れを埋めきれなかった。空調卸のワツコも12.92%安。利益が市場予想を1割強下回り、前年まで効いていた値上げの追い風が剥がれたと会社自身が説明している。
そしてバーティブが17.26%安。データセンターの電源と冷却を担う、AI投資の代表的な受け皿だ。決算の中身は売上が前年比24%増、利益は予想超え、通期見通しはむしろ引き上げと悪くない。それでも売られたのは、売上が市場の期待に届かず、その理由を「大型案件の実行の時期ずれ」と説明したからだ。高い期待で買われた株にとって、「ずれ」という言葉は「減速」に聞こえる。
資本財が最悪セクターになった
この流れは1社では止まらなかった。キャタピラーは6.91%安。決算はまだ先なのに下げたのは、証券会社が投資判断を引き下げたからで、その理由がデータセンター建設への規制の広がりだった。ニューヨーク州は7月に、大型データセンターの新設を最大1年止める全米初の一時停止を発動している。キャタピラーの記録的な受注残はデータセンター向けの発電機が牽引しており、建設が遅れれば受注も遅れる。
住宅の弱さ、AI案件のずれ、建設規制。理由は3つとも違うのに、行き着く先は同じ「資本財の売り」で、セクターは3.03%安とこの日の最悪になった。
配管の次は、温度と電気
先週から続く流れと合わせると、輪郭がはっきりする。市場は「AIデータセンターが建ち続ける」という前提に値段を付けてきた。その前提が揺れたとき、最初に売られたのは光ファイバーや造成といった配管で、今週は空調と電源に順番が回ってきた。
チップの会社は他の客も持っている。だが冷却と電源の会社にとって、データセンターは代わりの見つからない客だ。AIの体温を測りたければ、チップより先に、温度と電気の会社の株価を見るのが早い。
