月曜の相場を動かしたのは、決算でも金利でもなく、日曜に出た一報だった。
トランプ大統領がイランへの一連の攻撃を見送り、月曜から新たな協議を始めると述べたと報じられた。WTI原油は5.44%安の$80.06。7月だけで20%超上げていた分を、1日でまとまって吐き出している。
20%上げた理由が、そのまま下げる理由になる
2月末に米国とイスラエルがイランを攻撃して以降、ホルムズ海峡は実質的に閉じられてきた。世界の原油と天然ガスが通る要路が使えないという前提が、7月の急騰を作っている。オマーン沖でのタンカー攻撃も重なり、価格は供給の途絶を織り込んだ水準まで上がった。
だから協議の可能性が出た瞬間に、上げの根拠がそのまま下げの根拠に変わる。原油の値段は在庫や需要より先に、まず「通れるかどうか」で決まる局面に入っていたということだ。
10セクターが上げ、エネルギーだけが0.90%安
この下げは株式市場では歓迎された。燃料と輸送のコストが下がれば、企業の利益は広く押し上げられる。11セクターのうち10が上げ、ダウは最高値を更新した。
例外がエネルギーで、この日唯一のマイナス(0.90%安)になった。シェブロンが1.85%安、オクシデンタルが2.80%安。エクソンモービルは0.24%安と小幅にとどまっている。原油高で利益が膨らむ構図がそのまま逆に働く以上、これは筋の通った反応だ。
イランの否定と、織り込まれた5.44%
ここは慎重に見るべきところで、イラン側は月曜の時点で、米国との協議は行われておらず会合の予定も無いとして、この話を否定している。
つまり市場が値段に織り込んだのは、合意でも停戦でもなく、「合意があり得る」という可能性の分だけだ。協議が実際に始まらなければ、この5.44%は戻り得る。逆に協議が形になれば、7月の上げ幅にはまだ削る余地が残る。
原油を持たない投資家にとっても、この一報は他人事ではない。燃料費は航空や運送の利益に直結し、輸入物価を通じて金利の見通しにも効く。次の焦点は、月曜に始まるはずだった協議が実際に開かれるかどうかである。
