前号でこう書いた。「次の焦点は、月曜に始まるはずだった協議が実際に開かれるかどうかである」。
答えは1日で出た。トランプ大統領は火曜、イランとの協議は進行中だと述べ、制裁を再開する前に「最後の機会」を与えたいと語った。ベッセント財務長官はさらに具体的で、商船の自由な通航を伴うホルムズ海峡の再開について、火曜か水曜にも合意に達し得ると述べている。
WTI原油は6.27%安の$75.30。前日の5.44%安と合わせると、2日で1割を超えて下げた。
2日で1割という速さの意味
7月の原油は、ホルムズ海峡が実質的に閉じているという前提の上で20%超上げていた。その前提が外れる可能性が出た途端、上げ幅は同じ速さで戻り始めている。
在庫や需要の統計は、こういう動き方をしない。数週間から数か月かけて価格に染み出す。2日で1割という速さは、値段を決めていたのが需給ではなく「通れるかどうか」という一点だったことを示している。
米国株には広く追い風、エネルギー株には逆風
原油安は、燃料と輸送のコストを通じて企業の利益を広く押し上げる。この日も11セクターのうち10が上げ、S&P 500とダウはそろって最高値を更新した。
例外はエネルギーで、2日続けて唯一のマイナス(0.27%安)。エクソンモービルが0.71%安、シェブロンが1.44%安、オクシデンタルが0.69%安。ただし下げ幅は原油の6.27%に比べればずっと小さい。石油会社の利益は精製の利幅や既存の販売契約にも支えられており、原油価格にそのまま連動するわけではないためだ。
否定と肯定のあいだで
ここで一度整理しておきたい。月曜、イラン側は「協議は行われておらず、会合の予定も無い」と否定した。火曜、米側は「協議は進行中」と述べた。どちらかが事実と違うか、あるいは双方の言う「協議」の定義が違う。
そして、いずれにせよホルムズ海峡はまだ開いていない。ベッセント財務長官の発言は合意の可能性についてであって、合意そのものではない。
原油の値段は今、船が通る前の期待の上に立っている。合意が形になれば7月の上げ幅にはまだ削る余地があり、決裂すれば2日ぶんの下げは戻り得る。答え合わせは、声明ではなく通航の実績で行うのが安全だ。
