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アレックス・カープ
Alex Karp
Palantir Technologies[PLTR]
時価総額 $480.8B創業者

国家の裏方から時価総額世界屈指へ

アレックス・カープAlex Karp

共同創業者・CEO生年 1967米国・ニューヨーク
2026.08.265 分で読める

CIAの投資部門から出た元手で始めた解析ソフトの会社を、23年かけて時価総額で世界有数の企業に育てた。哲学の博士号を持ち、部下と1対1で会わないことで知られる経営者である。

AI防衛創業者

経営の一貫性

sodate 独自指標
総合スコア
59
成長優先派

売上は伸ばせるが、利益率は揺れる。

直近 7 年の数字より
売上の伸び90
利益率の規律0
資本配分の規律88
売上 平均伸び
+35.6%±13.7pp
営業利益率
-24.6%±46.7pp

アレックス・カープ 体制を含む過去の数字。売上成長率の標準偏差・営業利益率の標準偏差・配当規律の 3 軸を平均。 言葉の一貫性 (過去 10-K テキスト比較) は Phase 2 で追加予定。

この記事の流れ(全6章)
  1. 01弁護士の父と美術教師の母のもとで
  2. 02スパイ機関の金で会社を作る
  3. 03AIの波に乗り、企業向けが政府に追いついた
  4. 04給料をわざと安く抑えた時代と、面談をしない経営
  5. 05敵に回されがちな仕事を、あえて引き受ける
  6. 06この人を通して数字を読むなら

パランティアという社名は、指輪物語に出てくる「見る石」から取った。カープはこの名を、CIAの投資部門から出た資金で登記した。

数字で読む
共同創業から
23
2003年、投資運用の仕事から転身
時価総額
$445.5B
2026年8月時点
売上の伸び
93%
2026年4〜6月期、前年同期比
米企業向け売上の伸び
149%
同じ四半期、伸びを主に牽引
01

弁護士の父と美術教師の母のもとで

カープは 1967 年、ニューヨーク市で生まれた。父は公民権運動に関わった弁護士、母は美術の教師である。

育ったのはフィラデルフィア。裕福ではない家庭で、法律と芸術、両方の空気を吸って育った。

大学はハバフォード大学で哲学を学んだ。その後スタンフォード大学のロースクールに進み、法務博士号を取る。

ここで出会ったのが、のちにパランティアを共に作るピーター・ティールだった。二人とも、周囲とはどこか馴染まない学生だったという。

法律の道には進まなかった。代わりにドイツへ渡り、フランクフルト大学で社会理論の博士号を取得している。

その後しばらくは、ロンドンで投資運用の小さな会社を営んでいた。会社を経営した経験は、この時が初めてだった。

  1. 1967
    米国ニューヨーク市で生まれる
    父は公民権弁護士、母は美術教師
  2. 1989
    ハバフォード大学で哲学を学ぶ
  3. 1992
    スタンフォード大学ロースクールで法務博士号
    ここでピーター・ティールと出会う
  4. 2002
    フランクフルト大学で社会理論の博士号を取得
  5. 2003
    ティールらと共にパランティアを創業
    投資運用の仕事からの転身
  6. 2004
    CIAの投資部門イン・キューテルが出資
    対テロ捜査向けの解析基盤として始まる
  7. 2020
    証券取引所に直接上場
    この年、報酬総額で世界最高額の経営者になった
  8. 2024
    S&P 500種指数に採用
  9. 2026
    四半期売上が前年比93%増、時価総額が世界有数の規模に
02

スパイ機関の金で会社を作る

パランティアが生まれたのは 2003 年、9.11 の同時多発テロから 2 年後である。

まとまった元手を出したのはティールだが、もう一社、CIAが持つ投資部門イン・キューテルも資金を入れた。

当時は誰も欲しがらない仕事だった。集めたのはテロ捜査官が使うための、バラバラなデータをひとつの画面でつなぐ解析ソフトである。

国家の裏方から、企業のAI基盤へ
CIAの投資部門が出資(2004年)
対テロ捜査向けの解析ソフトから始まる
国防・情報機関に導入が広がる
長年、稼ぎ頭は政府だけだった
AIの汎用基盤へ拡張
2023年以降、同じ基盤を企業向けに開放
企業が稼ぎの主役に迫る
2026年、商業向け売上が政府向けに肉薄
Gothamは政府機関向け、Foundryは企業向けの解析基盤の名称

この解析基盤は、のちに軍や情報機関の標準的な道具になった。パランティアの名を一般に広めたのも、この政府向けの仕事だった。

03

AIの波に乗り、企業向けが政府に追いついた

長らくパランティアの顧客は、国防や治安の機関が中心だった。企業向けの事業は伸び悩んでいた時期が長い。

流れが変わったのは、生成AIの流行に合わせて基盤を作り替えてからだ。同じ解析の力を、企業の在庫管理や需要予測にも使えるようにした。

2026 年 4〜6 月期の売上高は $1.94B、前年同期比 93% の伸びである。

2026年4〜6月期、稼ぎ方は企業と政府がほぼ半々に
企業向け$945M前年同期比+110%、うち米国だけで+149%政府向け$990M前年同期比+79%、うち米国だけで+90%
合計売上$1.94B、前年同期比+93%。純利益は$1.06B

創業からしばらくは政府専業に近く、公開後も政府向けが過半を占めてきた稼ぎ方は、いまではほぼ半分ずつになっている。会社は今期の売上見通しを $8.15B まで引き上げた。

04

給料をわざと安く抑えた時代と、面談をしない経営

カープには長らく変わった評判がついて回った。会社の評価額が $20B に達しても、給料は年 $125,000 に抑えていたと伝えられる。

私が金を稼ぐのは、あなたたちが金を稼いだときだけだ

アレックス・カープ

その後、2020 年の上場に合わせて発行された株式報酬により、その年の報酬総額は $1.1B に達した。上場企業の経営者として当時世界最高額だったとされる。

働き方にも独特の癖がある。派手な色のスポーツウェアで出社し、部屋には太極拳の剣を置いているという。

面接では、演説をそらで暗唱してから太極拳の型を見せ、挨拶もせず去ったという逸話が伝わる。1対1の面談を避け、米ニューハンプシャー州の納屋で仕事をすることもあるそうだ。

05

敵に回されがちな仕事を、あえて引き受ける

パランティアの顧客には、国境警備や軍の情報部門も含まれる。同業他社の多くが距離を置く領域だ。

この立ち位置は諸刃の剣になる。防衛や治安の予算は他社が入りにくい分、競合が少ない。

一方で、監視技術への警戒から批判を浴びる場面もある。社員の一部が抗議して退職した例も報じられてきた。

株価にも独特の癖が出ている。時価総額 $445.5B は、会社が見通す通期売上 $8.15B の 50 倍を超える水準だ。

成長への期待がすでに大きく織り込まれている、ということでもある。伸びが鈍れば、株価の反応も大きくなりやすい。

06

この人を通して数字を読むなら

カープは、発明家というより仲介者に近い経営者だ。国家が持つ大量のデータを、使える形に整える仕事を売ってきた。

その仕事は、政府という景気に左右されにくい顧客と、企業という伸びしろの大きい顧客の両方を持つ強みになった。

だからパランティアの株を見るときは、企業向け売上が政府向けに並ぶ勢いを保てるかを見るとよい。

もう一つ見るべきは、いまの株価がどれだけ先の成長を織り込んでいるかだ。この会社は、伸びが止まった瞬間に評価が大きく揺れる構えのまま走っている。

出典:

  • Palantir Technologies Inc., Q2 2026 決算発表資料 (SEC 8-K, 2026年8月2日) — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1321655/000132165526000039/a2026q2ex991pressrelease.htm
  • Businesswire「Palantir Reports Q2 2026 U.S. Comm Revenue Growth of 149% Y/Y」(2026年8月2日) — https://www.businesswire.com/news/home/20260802523449/en/Palantir-Reports-Q2-2026-U.S.-Comm-Revenue-Growth-of-149-YY-and-Revenue-Growth-of-93-YY-Raises-FY-2026-Revenue-Guidance-to-82-YY-Growth-and-U.S.-Comm-Revenue-Guidance-to-134-YY-Crushing-Consensus-Expectations
  • Britannica Money「Alex Karp | Cofounder & CEO of Palantir Technologies」— https://www.britannica.com/money/Alex-Karp
  • Forbes「How A 'Deviant' Philosopher Built Palantir, A CIA-Funded Data-Mining Juggernaut」(Andy Greenberg, 2013年) — https://www.forbes.com/sites/andygreenberg/2013/08/14/agent-of-intelligence-how-a-deviant-philosopher-built-palantir-a-cia-funded-data-mining-juggernaut/
  • Fortune「Palantir's Alex Karp」CEO報酬に関する記事 (2025年5月5日) — https://fortune.com/2025/05/05/palantir-ceo-pay-alex-karp/
公開情報(各社開示・公的資料・各種報道)を編集してまとめたものです。 人物評価には筆者の解釈を含みます。投資判断は別途、自身の責任で行ってください。