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Coinbase · COIN創業者

ブライアン・アームストロング

Brian Armstrong

共同創業者・CEO生年 1983/ 米国・カリフォルニア州サンノゼ

規制と1年8カ月争い、主流に乗った

民泊仲介の会社を辞め、誰も信じていなかった暗号資産の交換所を作った。規制当局との訴訟を1年8か月争って勝ち、いまはS&P 500に名を連ねる会社の顔である。

2026.08.264 分で読める内容確認 2026.08.27

暗号資産 · 創業者

裏にいる会社を辿る → 裏に 3 社

経営の型

在任 2012.05〜現在 / 集計 FY2020〜2025・6 期
市況連動型

売上が相場や需要の波 (一時的な特需を含む) で大きく振れる会社を運転している。数字の振れは本人の手腕より外の環境。

この人を通して見る数字。見るのは波の底での手元資金と、好況期に投資をやり過ぎていないか。いまが波のどこかを先に確かめる。

売上の伸び振れ 大
中央値
+9.4%
ブレ
±207.0pp
前年割れ
2 回
利益率振れ 大
営業利益率 平均
6.1%
ブレ
±43.2pp
資本配分一定
設備投資/売上
0.0%

良い・悪いを表す点数ではありません。業界の構造、景気、市況、会社の成熟度も同じ数字に映ります。型は本人の期間の決算から機械的に読んだもの (基準: 成長率のブレ 20pp 以上、売上が前年割れの年 2 回以上)。出典は SEC EDGAR の年次報告。

この記事の流れ(全5章)
  1. 01プログラマーが、民泊の会社から飛び出した
  2. 02「政治的な話はしない」という決断
  3. 03規制当局と1年8カ月争い、主流になった
  4. 04取引所を、両替商から総合金融へ
  5. 05この人を通して数字を読むなら

2012年、アームストロングは安定した仕事を辞め、誰も価値を信じていなかった通貨を売る会社を作った。いまコインベースはS&P 500種指数の一員である。

数字で読む

創業から
14年2012年、29歳のとき
時価総額
$53.0B2026年8月時点
暗号資産の取引シェア
10.3%2026年4〜6月期、過去最高を更新
SEC訴訟の期間
20か月2023年6月提訴、2025年2月に取り下げで決着
01

プログラマーが、民泊の会社から飛び出した

アームストロングは 1983 年、米国カリフォルニア州サンノゼで生まれた。両親はどちらも技術者で、幼い頃から機械に触れて育っている。

大学はライス大学で経済学とコンピューター科学の学位を取り、翌年コンピューター科学の修士号も取っている。

卒業後はIBMでプログラマー、監査法人デロイトでコンサルタントとして働いた。2011 年にはエアビーアンドビーにソフトウェア技術者として加わる。

そこで 190 か国にまたがる決済の仕組みに触れた。南米向けの送金がうまくいかない現実を見て、暗号資産への関心を強めたという。

2012 年、29 歳でその職を辞め、暗号資産を売買できる場を作る会社を立ち上げる。コインベースの始まりである。

  1. 1983
    米国カリフォルニア州サンノゼで生まれる
  2. 2005
    ライス大学で経済学とコンピューター科学を学ぶ
  3. 2012
    29歳でコインベースを創業
    民泊関連企業のエンジニア職を辞める
  4. 2020
    「政治的な主張をしない会社」宣言を発表
    方針に賛同できない社員の約5%が退職
  5. 2021
    米国の証券取引所に直接上場
  6. 2023
    米SECが証券法違反の疑いで提訴
  7. 2025
    SECが訴えを取り下げ、決着
    同年5月にS&P 500種指数へ採用
  8. 2026
    暗号資産の取引シェアが過去最高を更新
02

「政治的な話はしない」という決断

2020 年、社会の分断が深まる中で、アームストロングは社内向けに一通りの宣言を出した。

会社としての立場は取らない、社内で政治や社会運動を議論しない、という内容である。

私たちの使命に集中することが、世界に一番大きな影響を与える道だ

— ブライアン・アームストロング

反発も大きかった。社員の一部が抗議のため社を去り、退職者には手厚い退職金が用意された。

賛同できないと答えた社員は全体のおよそ 5% にのぼったとされる。それでも方針は撤回されず、いまも会社の基本姿勢として残っている。

03

規制当局と1年8カ月争い、主流になった

2023 年 6 月、米証券取引委員会はコインベースを提訴した。暗号資産の多くを未登録の証券として扱っている、という訴えである。

会社側は真っ向から争う道を選んだ。当局と事前に何十回も面談を重ねていたにもかかわらず訴えられた、と主張している。

訴訟から主流入りまでの1年8カ月
2023年6月、SECが証券法違反で提訴
会社は不当だとして全面的に争う
法廷闘争に年間約$50Mを投じる
業界の規制論争の象徴的な裁判に
2025年2月、SECが訴えを取り下げ
以後は同じ内容で訴えられない形で決着
同年5月、S&P 500種指数に採用
暗号資産の会社として初めて仲間入り
2025年2月、SECは訴えを取り下げて決着した

裁判の費用だけで年間 $50M ほどかかっていたとされる。決着後、会社はこの費用が丸ごと浮くとみている。

04

取引所を、両替商から総合金融へ

コインベースの稼ぎ方は、この数年で分散してきた。かつては暗号資産の売買手数料がほぼすべてだった。

2026 年 4〜6 月期、購読・サービス収入は $555M だった。2020 年の同じ時期のわずか $6M と比べれば、長期の伸びは際立つ。

ただし直前の 1〜3 月期は $656M あり、前年同期と比べても今期は減っている。相場が落ち着くとこの収入も縮む面がある。

新しく育っているのが、将来の出来事に賭ける取引の場である。この分野の年換算収入は $100M を超えた。

一方で、暗号資産そのものの相場が落ち着くと、取引高に連動する収入は縮む。2026 年 4〜6 月期の総収入は $1.2B で、前年同期比では 19% 減った。この四半期は純損失 $359.5M も計上している。

05

この人を通して数字を読むなら

アームストロングは、規制の壁を正面から押し返して主流の座を勝ち取った経営者だ。訴訟を1年8カ月争い抜いた粘り強さが、いまの評価の土台にある。

一方で「政治的な話をしない」という強い姿勢は、会社の個性そのものになった。賛否は分かれるが、方向をぶらさない点は一貫している。

勝ち取った直後にも、火種は残っている。SEC訴訟の期間中の情報開示を巡り、株主が経営陣を相手取った別の訴訟も起きている。

だからコインベースの株を見るときは、暗号資産の相場そのものより、購読・サービス収入がどれだけ育っているかを見るとよい。

相場に左右されにくい収入の比率が高まるほど、この会社は「両替商」から「金融インフラ」へ近づいていく。

出典:

  • Coinbase Global, Inc. Form 10-Q (2026年6月30日締め四半期) — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001679788/000167978826000088/coin-20260630.htm
  • Coinbase Blog「Coinbase is a mission focused company」(2020年9月) — https://www.coinbase.com/blog/coinbase-is-a-mission-focused-company
  • Cryptobriefing「From SEC Crypto Lawsuit to S&P 500: How Coinbase Won Its Three-Year Regulatory War」— https://cryptobriefing.com/coinbase-sec-lawsuit-anniversary-sp500/
  • Coinbase Blog「Coinbase Q2 Earnings: Everything Exchange Drives 3rd Consecutive Quarter of Record Crypto Trading Volume」(2026年7月30日) — https://www.coinbase.com/blog/coinbase-q2-earnings-everything-exchange-drives-3rd-consecutive-quarter-of-record-crypto-trading-volume-market-share-revenue-diversification-and-resilience
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