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クレイ・マゴーリック
Clay Magouyrk
Oracle[ORCL]
時価総額 $437.1Bプロ経営者

巨額受注の裏で、借金も膨らむ

クレイ・マゴーリックClay Magouyrk

共同CEO
2026.08.265 分で読める

2025年、単独CEOのサフラ・カッツに代わって共同CEO体制が敷かれた。クラウド基盤OCIをゼロから育てた技術者マゴーリックは、$638Bの受注残と膨らむ借金を同時に抱えている。

クラウドAI共同経営

経営の一貫性

sodate 独自指標
総合スコア
71
安定運転

目立つブレなく、地味に積み上げる。

直近 10 年の数字より
売上の伸び74
利益率の規律70
資本配分の規律68
売上 平均伸び
+6.8%±6.3pp
営業利益率
31.8%±3.8pp
連続増配
5 年
配当年比率
100%

クレイ・マゴーリック 体制を含む過去の数字。売上成長率の標準偏差・営業利益率の標準偏差・配当規律の 3 軸を平均。 言葉の一貫性 (過去 10-K テキスト比較) は Phase 2 で追加予定。

この記事の流れ(全5章)
  1. 01エンジニアからCEOへ、直線的なキャリア
  2. 02AWSの後発から、AI時代の主役へ
  3. 03経営者は2人、しかも会長がいる
  4. 04$638Bの受注残と、膨らむ借金
  5. 05この人を通して数字を読むなら

2025年9月、オラクルは、通算11年務めたサフラ・カッツのCEO体制を退任させた。後を任されたのは営業畑の幹部ではなく、クラウド基盤をゼロから作り直したエンジニア、クレイ・マゴーリックだった。

数字で読む
共同CEO就任
2025年9月
マイク・シシリアとの2人体制
契約残高(RPO)
$638B
2026年5月末時点
OpenAIとの契約
$300B
5年契約、単独では過去最大級
時価総額
$424.3B
2026年8月。年初来25%超下落
01

エンジニアからCEOへ、直線的なキャリア

学歴は米メンフィス大学の電気工学。地元のホテルチェーン、ヒルトンで技術職として2年働いたのち、2008年にアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)へ移った。

AWSでは6年間、当時どの競合も追いつけなかったクラウド基盤の設計に関わっている。2014年、その経験を買われてオラクルに移籍した。

移籍当時のオラクルのクラウド事業は、AWSに大きく水をあけられた後発だった。マゴーリックは、その基盤を作り直すチームの創設メンバーとして加わる。

以来10年以上、一貫してクラウド基盤(OCI)の開発と拡大に携わってきた。営業や財務ではなく、技術の現場からトップに上がった経営者である。

  1. 2008
    アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に入社
    6年間、クラウド基盤の設計に関わる
  2. 2014
    オラクルに移籍
    クラウド基盤(OCI)刷新チームの創設メンバー
  3. 2025年9月
    マイク・シシリアとともに共同CEOに昇格
    単独CEOだったサフラ・カッツは執行副会長へ
  4. 2025年9月
    OpenAIと5年・$300Bの契約を発表
    履行は2027年開始、単独では過去最大級のクラウド契約
  5. 2026年6月
    契約残高(RPO)が$638Bに達したと公表
02

AWSの後発から、AI時代の主役へ

10年前、オラクルのクラウド事業は「周回遅れ」と評されていた。マゴーリックが手がけたのは、その基盤をゼロから作り直す仕事である。

作り直した基盤(OCI第2世代)は、AIの学習や推論に向いた設計を売りにした。いまではこの分野で名前が挙がる主要な選択肢の一つに育っている。

オラクルは2025年9月、この基盤をめぐって過去最大級の契約を発表した。相手はOpenAIである。5年間で$300B、履行は2027年に始まる契約で、単独では過去最大級の規模とされる。

契約残高(将来の売上として積み上がった受注)は、2026年5月末時点で$638Bに達した。1年前の数倍という積み上がり方である。

OCIが展開する公開クラウドの拠点は、世界100か所を超える規模まで広がった。老舗のAWSやマイクロソフトのアジュールを追いかける立場から、AI向けという一点では選択肢の一つに数えられる存在まで育っている。

03

経営者は2人、しかも会長がいる

2025年9月、オラクルは経営体制を大きく変えた。2014年から共同CEO、2019年からは単独でCEOを務めてきたサフラ・カッツが退き、マゴーリックとシシリアの2人による共同CEO体制へ移った。

役割は分かれている。マゴーリックがクラウド基盤(インフラ)を、シシリアが業種別のアプリケーションと人工知能製品を担当する。

AIインフラの市場規模は、既存のクラウド市場を小さく見せてしまうほどだ

クレイ・マゴーリック

創業者のラリー・エリソンは会長兼最高技術責任者として残った。共同CEO体制になったあとも、社内の指揮系統でなお大きな比重を持つと報じられている。

2人のCEOがそれぞれの持ち場を率い、創業者が会長として上に残る。誰か一人に権限が集中しない設計だが、最終的な意思決定者が誰かは、外からは見えにくい。

04

$638Bの受注残と、膨らむ借金

受注残の大きさは、この会社の将来の売上を約束するものではない。データセンターを実際に建てる現金が、先に出ていくからだ。

データセンターを建てる借金が、1年でおよそ1.4倍に
1年前$85.3B
2026年(直近)$122.3B
長期債務の残高。2026会計年度、前年度との比較

2026会計年度のフリーキャッシュフロー(営業で得た現金から設備投資を引いた残り)はマイナス$23.7Bだった。稼いだ額以上に、施設への投資を先行させている。

粗利率も下がっている。2021年に80.6%あった比率は、2026会計年度には65.8%まで落ちた。データセンターの建設費が、売上原価として重くのしかかっている。

信用格付け会社は、オラクルの格付けを投機的水準の一歩手前まで引き下げた。株価は2026年に入って25%超下げ、2025年9月の高値からはおよそ半分になっている。

05

この人を通して数字を読むなら

マゴーリックが率いるのは、受注残という「未来の売上」と、借金という「いま出ていく現金」が同時に膨らんでいる会社である。

だからオラクルの株を見るときは、契約残高の大きさだけでなく、フリーキャッシュフローがいつプラスに戻るかを見るとよい。

受注をこなすだけの設備投資が続くあいだは、借金は増え続ける。増設が一段落し、データセンターが稼働してはじめて、受注残は実際の利益に変わる。

共同CEOという体制そのものも、まだ答えの出ていない実験である。うまく機能するかどうかは、これからの数字が示すことになる。

出典:

  • Oracle, "Oracle Corporation Announces Promotion of Clay Magouyrk and Mike Sicilia to CEOs; Safra Catz Appointed Executive Vice Chair of the Board of Directors"(2025-09-22) — https://www.oracle.com/news/announcement/oracle-corporation-announces-promotion-of-clay-magouyrk-and-mike-scilia-2025-09-22/
  • The Motley Fool, "This AI Infrastructure Company Has a $638 Billion Backlog and Is Trading Near an 18-Month Low"(2026-07-02) — https://www.fool.com/investing/2026/07/02/this-ai-infrastructure-company-has-a-638-billion-b/
  • CNBC, "Oracle stock ends worst week since 2001 as investors dwell on finances"(2026-06-26) — https://www.cnbc.com/2026/06/26/oracle-stock-ends-worst-week-since-2001-as-investors-dwell-on-finances.html
  • TheStreet, "Oracle junk bond fears, debt surge sound investor warning" — https://www.thestreet.com/investing/stocks/orcl-oracle-stock-junk-bond-bankruptcy-fears-warning-investors
  • Bloomberg, "オラクルのエリソン会長、CEO交代後に影響力拡大-従業員の40%を指揮"(2025-11-11) — https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-11-11/T5JCFPKJH6V400
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