本文へ移動
Johnson & Johnson · JNJプロ経営者

ホアキン・デュアト

Joaquin Duato

会長・CEO生年 1962/ スペイン・バレンシア

会社を割り、訴訟と向き合う経営者

スペインの営業職から33年かけてJ&Jの頂点まで上った経営者。消費者向け事業を切り離して薬と医療機器に絞り込み、2026年通期の見通しでは創業以来初めて売上$100Bを超える見込みだ。一方でベビーパウダー訴訟は、3度目の破産申請も退けられ、なお解決していない。

2026.08.265 分で読める

製薬 · 医療機器 · プロ経営者

裏にいる会社を辿る → 裏に 15 社

経営の型

在任 2022.01〜現在 / 集計 FY2023〜2025・3 期 (在任外の 9 期は除外)・参考値
型はまだ読めません

このサイトが SEC から取り込めた本人の期間の決算が 3 期分しかないため、右の数字は参考値です。型は 4 期そろってから付けます。

営業利益率 平均
—
設備投資/売上
5.1%
配当を出した年
100%

良い・悪いを表す点数ではありません。業界の構造、景気、市況、会社の成熟度も同じ数字に映ります。型は本人の期間の決算が 4 期そろってから付けます。出典は SEC EDGAR の年次報告。

この記事の流れ(全5章)
  1. 0133年かけて頂点に立った営業職
  2. 02消費者向けを切り離し、薬と機器に絞った
  3. 03特許切れの崖を、次の薬で埋める
  4. 043度却下された、ベビーパウダー訴訟の解決策
  5. 05この人を通して数字を読むなら

1989年、スペインのヤンセン・ファーマシューティカルズに一人の営業職が入る。33年後、その男はジョンソン・エンド・ジョンソンの会長兼CEOとして、140年の歴史で初めて年間売上$100Bを超える見通しの会社を率いている。

数字で読む

CEO在任
5年2022年1月〜
2026年売上見通し
$101.1B創業以来初の大台
ステラーラ減収
-43%2025年、前年比。特許切れの影響
タルク訴訟
約9万件未解決の請求件数
01

33年かけて頂点に立った営業職

デュアトは1962年、スペインのバレンシアに生まれた。バルセロナのESADE経営大学院でMBAを取り、米国アリゾナのサンダーバード国際経営大学院でも学んでいる。

キャリアは1989年、スペインのヤンセン・ファーマシューティカルズから始まった。2002年に米国へ転じ、以後は一貫してJ&Jの中で昇進を重ねている。

2011年に医薬品部門の世界会長、2018年には執行委員会の副会長に就いた。2021年8月にCEO就任が決まり、2022年1月に正式就任、2023年1月には会長も兼ねる。

  1. 1962
    スペイン・バレンシアで生まれる
  2. 1989
    ヤンセン・ファーマシューティカルズ(スペイン)に入社
  3. 2002
    米国へ転勤
  4. 2011
    医薬品部門の世界会長に就任
  5. 2018
    執行委員会の副会長に就任
  6. 2022/1
    CEOに就任
  7. 2023/1
    会長を兼務
  8. 2023/8
    消費者向け事業をKenvueとして分離完了(IPOは同年5月)
  9. 2026
    見通しで売上が初めて$100Bを超える
02

消費者向けを切り離し、薬と機器に絞った

デュアトがCEOとして最初に手掛けた大きな決断が、タイレノールやバンドエイドを抱える消費者向け事業の切り離しだった。この事業は2023年5月にKenvueとしてIPOし、同年8月に分離を完了した。

Kenvueは、消費者に愛され信頼されるブランドを携え、単独の会社として発展していく

— ホアキン・デュアト (2022年、Kenvue発表時)

残った本体は、医薬品(Innovative Medicine)と医療機器(MedTech)の二つの事業に絞られた。この選択と集中が、2026年の$100B突破の見通しにつながっている。

消費者向けを切り離し、二つの事業に絞った
薬・医療機器・消費者向けの3事業
分離前のJ&J
消費者向け(タイレノール等)を分離
Kenvueとして単独上場
薬(Innovative Medicine)と機器(MedTech)が残る
いまのJ&J
2023年8月、Kenvueの分離が完了(IPOは5月)
03

特許切れの崖を、次の薬で埋める

デュアトが引き継いだ最大の主な収益源、乾癬薬ステラーラは2025年に米国での独占期間を失った。安価な後続薬(バイオシミラー)が次々と参入している。

ステラーラの売上は、2年でこう縮んだ
2023年(ピーク)約$11B
2025年$6.1B
2027年(予測)約$2.7B
2023年がピーク。2027年は市場予測。特許切れによる後続薬の参入が主因

穴を埋める役目を担うのが、乾癬薬トレムフィアだ。売上は前年比64%伸び、ピーク時$10Bを見込む。多発性骨髄腫薬ダーザレックスなど、がん領域の薬も伸びを支えている。

会社は主力薬1つへの依存を、複数の薬に分散させることで乗り切ろうとしている。この崖をどれだけ滑らかに越えられるかが、デュアト政権の通信簿になる。

04

3度却下された、ベビーパウダー訴訟の解決策

デュアトが業績と同時に向き合い続けているのが、ベビーパウダー(タルク)にまつわる訴訟である。卵巣がんなどを発症したとする原告は、約9万件にのぼる。

会社は子会社を通じた連邦破産法の活用で、まとめて解決を図ってきた。だが2023年1月、2023年7月、2025年3月31日と、3度にわたり裁判所に退けられている。

直近の提案は$8Bの一括和解案で、対象となる請求者の83%が賛成したとされる。それでも投票手続きに不備があったとして、裁判所は破産申請そのものを退けた。

会社は不正の主張を否定しているが、訴訟そのものはまだ終わっていない。業績が伸びる一方で、この重荷がいつ、いくらで片づくのかは読めないままだ。

05

この人を通して数字を読むなら

デュアトのやり方は、ジャンセンの営業職から積み上げた、地に足のついた社内昇進型の経営である。派手な発表より、事業の中身を絞り込む決断を重ねてきた。

Kenvueの切り離しも、ステラーラ後継薬への投資も、崖を見越して先に手を打つという同じ姿勢の表れだ。数字だけを見れば、この戦略はいまのところ効いている。

だからJ&Jの株を見るときは、ステラーラを除いた医薬品・医療機器の実力ベースの伸びと、タルク訴訟がどんな形で決着するかの2つを追うとよい。前者はデュアトの経営手腕、後者は会社に残った過去の請求書である。

出典:

  • Joaquin Duato, Wikipedia — https://en.wikipedia.org/wiki/Joaquin_Duato
  • Johnson & Johnson Announces Kenvue as the Name for Planned New Consumer Health Company — https://www.jnj.com/media-center/press-releases/johnson-johnson-announces-kenvue-as-the-name-for-planned-new-consumer-health-company
  • Johnson & Johnson (JNJ) Tops $100 Billion In Annual Revenue For The First Time, Yahoo Finance — https://finance.yahoo.com/healthcare/articles/johnson-johnson-jnj-tops-100-151217818.html
  • J&J's third talc bankruptcy settlement attempt denied, Chemistry World — https://www.chemistryworld.com/news/jandjs-third-talc-bankruptcy-settlement-attempt-denied/4021242.article
  • J&J logs strong innovative drug sales despite Stelara's decline, Fierce Pharma — https://www.fiercepharma.com/pharma/jj-flexes-15b-quarter-innovative-drugs-biosimilars-continue-chip-away-stelara
  • Johnson & Johnson, Form 10-Q (2026年6月28日提出), U.S. Securities and Exchange Commission — https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0000200406/000020040626000153/jnj-20260628.htm
公開情報(各社開示・公的資料・各種報道)を編集してまとめたものです。 人物評価には筆者の解釈を含みます。投資判断は別途、自身の責任で行ってください。