月曜、原油が急落した。米国とイランが軍事行動を止めることで合意し、ホルムズ海峡が封鎖されるという最悪の想定が遠のいたためだ。WTIは1日で7%を超えて下げ、約2か月ぶりの下落幅となった。金曜まで$90台だった原油は、いま$80.78にいる。
世界にとっては良い知らせだ。エネルギー価格が下がれば物価は落ち着き、企業のコストも軽くなる。実際この日、ダウは0.51%高で終えている。
だがエネルギー株にとっては違った。11セクターの中で唯一大きく崩れ、2.73%安。チェニエール・エナジー5.13%安、ターガ・リソーシズ4.87%安と天然ガス関連が揃って売られ、ノルウェーのエクイノールも4.63%安で続いた。
理由は単純だ。この数週間、エネルギー株の株価には「もし供給が止まったら」という保険料が含まれていた。紅海やホルムズ海峡の緊張が高いほど、この保険料は厚くなる。緊張が解ければ、その分は自動的に消える。株価が下がったのは業績が悪化したからではなく、株価に乗っていた恐怖が抜けたからだ。
この日いちばん下げたのはベンチャー・グローバルの10.41%安だった。ただしこちらは原油安だけが理由ではない。プロジェクトの遅延と契約を巡る係争が伝えられ、さらに財務責任者と法務責任者による大口の株式売却が明らかになっている。負債は自己資本の5倍を超える水準にあり、原油安という向かい風の中で、その重さが改めて意識された。
エネルギー株を持つ時に忘れやすいのは、この二重性だ。地政学の緊張は株価を押し上げるが、それは一時的に借りている価値でしかない。平和が戻れば返さなければならない。緊張の高い時期に買った株が、良い知らせで下がるのは、そのためだ。
