米国で住宅ローンを借りるとき、審査に使われる点数はほぼ1種類だった。フェア・アイザックが算出するFICOスコアである。
その前提が金曜に外れた。
50社の試験運用が、即日で全業者に広がった
連邦住宅金融庁のビル・パルティ長官が、ファニーメイとフレディマックの経営陣に指示を出した。VantageScore 4.0で審査した住宅ローンを、すべての貸し手から買い取れという内容である。
これまでも試験的な枠はあった。ただし対象は50社に限られていた。その上限が即日で外れた。
住宅ローンの審査は、フェア・アイザックのスコア事業の伸びをほぼ一手に支えてきた部分にあたる。
$10以上と$0.99
効くのは開放そのものより、価格である。
VantageScore側は1件$0.99という価格を掲げている。フェア・アイザックが住宅ローン向けに請求してきた額は$10以上で、実際にはそれを大きく上回る場合もある。
同じ用途に10分の1の代替が使えるようになれば、値段のほうが動く。市場が売ったのは、シェアそのものより利益率の前提だった。
エクイファクス6.37%安、トランスユニオン5.93%安
奇妙なのはここからである。
VantageScoreはエクイファクス・トランスユニオン・エクスペリアンの3社が共同で持つ。門が開けば通るのはこの3社のはずだった。
ところが、エクイファクスは6.37%安、トランスユニオンは5.93%安で引けた。
FICOFair Isaac▼16.68%
EFXEquifax▼6.37%
TRUTransUnion▼5.93%
理由は同じ人物の発言である。パルティ長官は指示と同じタイミングで、信用情報3社が「長いあいだ米国民に過大請求してきた」と述べ、その商慣行を「カルテルのようだ」と呼んだ。
さらに、審査で取り寄せる信用情報を3社ぶんから2社ぶんに減らす方式を「真剣に検討している」と付け加えた。実現すれば、3社が受け取る手数料はそのぶん減る。
次に見るのは、貸し手の移行と「2社ぶん」の方式
この日に決まったのは点数の開放だけで、料金の規制ではない。ただし市場は、規制する意思のほうを織り込んだ。
次に見る場所は2つある。貸し手が実際にVantageScoreへ移るかどうかと、「2社ぶん」の方式が指示に変わるかどうかである。
フェア・アイザックの株価は$932.26まで下げた。年初来では半分以下で、52週高値の$1,879.55からは遠い。独占が政策で作られていた事業は、政策で外れるときも速い。
朝刊は9月5日号に。
