前日のテスラは5.42%高だった。上げた理由は発表の中身ではなく、発表への期待である。
その発表会が木曜の夜に開かれ、金曜の株価は5.92%安になった。
招待客だけ、生中継なし、マスク氏の登壇なし
会場はテキサス州オースティンだった。入れたのは招待された人だけで、一般向けの生中継は行われていない。イーロン・マスク氏も登壇しなかった。
テスラの製品発表としては、異例の静けさだった。同社はこれまで、新型車の公開を演出の効いた催しとして扱ってきた。
示された内容は1つである。配車アプリの利用者が、オースティン周辺の区切られた区域で、運転席に人のいないサイバーキャブに乗れるようになった。
RBCが挙げた3つの問い、料金・生産・承認
RBCキャピタル・マーケッツは金曜の顧客向け資料で、これまでの発表からの上積みが限られていたと指摘した。
残った問いとして3つを挙げている。料金をいくらにするのか、どの速さで生産するのか、規制当局の承認をいつ取るのかである。
同社の分析担当者は、一般向けの生中継が無かったこと自体を、これまでの派手な発表からの明確な変化として書いた。
サイバーキャブはハンドルもペダルも持たない2人乗りである。市場が知りたかったのは走る様子ではなく、その車を何台、いくらで、どこまで走らせられるのかという部分だった。
運輸省がサイバーキャブの安全基準を調べ始めた
同じ日に、もう1つ動きがあった。
米運輸省道路交通安全局が、サイバーキャブが米国の安全基準を満たしているかを調べる手続きに入った。ハンドルもペダルも持たない車を、専用設計の配車車両として認められるかという論点である。
規制の見通しは、RBCが挙げた3つの問いの1つでもあった。その1つが、承認どころか調査の対象になった。
次に見るのはオースティン周辺の区域が広がるか
テスラの株価は$354.08で、52週高値$489.88からは離れている。この2日間は、期待で上げて中身で戻す往復に終わった。
次に見る場所は、区切られた区域がどこまで広がるかである。オースティン周辺という条件が外れないうちは、台数も料金も収益の話にならない。
安全局の調査がどう決着するかも、同じくらい重い。運転席を無くした車を認める基準が先に決まらなければ、生産の計画は立てられない。
朝刊は9月5日号に。


