アルファベットは水曜、4.03%安で引けた。決算でも訴訟でもない。理由は1人の退社である。
ジェフ・ディーン氏は、グーグルの検索を支える計算基盤から近年のAIモデルまで、15年以上にわたり技術の土台を設計してきた人物だ。その氏が、科学発見向けのAI新会社を立ち上げるため退社すると伝わった。オリオル・ビニャルズ氏、クオック・リー氏といった中核研究者も共同創業者として同行するという。
同じ日に、旗艦モデルGemini 3.5 Proの投入が数か月延びるという報道も重なった。人が抜ける話と、物が遅れる話が同時に出た形になる。
人材は決算書に載らない
時価総額数兆ドルの会社が、1人の退社で4%動く。これは、AIの競争力の核心が設備でも特許でもなく「誰がいるか」にあると、市場が考えていることの表れだ。設備投資は決算書で追えるが、人材の厚みは外からは見えにくい。見えにくい資産が動いたとき、株価は大きめに反応する。
AIを巡っては同じ日、スペースXの調達方針の転換がエヌビディアとAMDの株価を逆方向に動かしている。作る側・買う側・作る人——AIテーマの各銘柄は、それぞれ違う場所からこの競争に関わっている。
