木曜、市場は全面安だった。メガキャップのAI銘柄が総崩れする中で、逆向きに大きく上げた一角がある。防衛だ。
ロッキード・マーチンは10.5%高。4-6月期の決算がEPS $7.94(予想$7.09)、売上$20.1B(前年比11%増)と大きく予想を上回り、通期の売上・利益・フリーキャッシュフローをすべて引き上げた。核心は受注にある。四半期の新規受注は$65Bで、受注残は過去最高の$230Bに達した。RTXも通期売上見通しを$95B〜$96Bへ引き上げて7.3%高となった。
この強さの背景には、単純な構図がある。世界各地の紛争で、ミサイルや防空システムといった弾薬が実際に消費されている。撃てば撃つほど、それを補充する注文が入る。中東の緊張が続き、欧州が国防費を積み増す中で、防衛企業の受注残は「使われた分だけ増える」在庫のように積み上がっていく。決算の数字は、その「補充の戦争経済」を裏づけた。
注目すべきは、この日の資金の動き方だ。市場はAIへの巨額投資の回収時期を疑い始め、「いつ儲かるか分からない成長」から資金を引き上げた。その受け皿になったのが、国防予算という確実な発注元を持つ防衛だった。AIが「未来の約束」なら、防衛は「今そこにある需要」——その対比が、全面安の日の逆行高に表れている。
見ておきたいのは、他の防衛大手の決算だ。ジェネラル・ダイナミクスやノースロップ・グラマン、L3ハリスが同じ受注残の強さを示せば、これは1社の好決算ではなく業界全体の流れになる。
出典: Lockheed Martin(7/23・Q2決算、受注残$230B) / Reuters(7/23・RTX通期見通し引き上げ) / CNBC(7/23・防衛株が逆行高)
