研究の現場で使う道具を作る会社に、久しぶりの明るい数字が出た。サーモフィッシャー・サイエンティフィックの4-6月期決算は売上$11.99B(前年比10%増)、調整後EPS $6.03(予想$5.71)と予想を上回り、通期の売上とEPS見通しをともに引き上げた。株価は8.7%高となった。
この決算の核心は、分析機器の部門にある。顕微鏡や試験管、質量分析計といった研究用の機器を売るこの部門は、この2年間ずっと伸び悩んでいた。製薬会社やバイオ企業がコスト削減で研究予算を絞り、新しい機器を買い控えていたからだ。それが今回、6.9%の高成長に転じた。研究現場が再び道具に投資を始めた——その転換点として市場は受け取った。
反応は業界全体に広がった。同じ「研究の道具屋」であるダナハーが7.5%高、臨床試験を請け負うメドペースは決算の好調も重なって14.7%高、検査大手のクエスト・ダイアグノスティクスは52週高値を更新した。1社の好決算ではなく、研究支出という業界全体の温度が上がったことを示している。
意味を持つのは、この日の相場全体との対比だ。メガキャップのAIが「将来の投資」を疑われて売られた同じ日に、研究機器は「今の需要の回復」を数字で見せて買われた。派手さはないが着実に稼ぐ——そういう会社に資金が向かった一日だった。
見ておきたいのは、この回復が続くかだ。研究予算は景気や金利に左右されやすい。次の四半期も分析機器の成長が続けば、「2年ぶりの追い風」は本物の回復になる。
出典: Thermo Fisher(7/23・Q2決算リリース) / Motley Fool(7/23・ライフサイエンス機器株が上昇) / Medpace(7/22・Q2決算と受注回復)
