1982年の上場以来、自社で新規開発するより「すでに実績のある製品ラインを買う」戦略を繰り返してきた。買収した会社の看板製品をそのまま自社ブランドの主力に据えている点が、内製にこだわる同業他社と違う。
分娩監視用の子宮内圧カテーテルや新生児のケア器具、女性の健康関連の器具を病院や診療所に売る。国内は直販と代理店、海外はアイルランドの自社工場と各国の販売子会社が担う。1997年から2011年にかけて買った4つの製品ラインが、2025年の売上の57%を占める。
一度使うと交換が要る消耗品中心のため需要は底堅いが、出生数そのものが減れば分娩関連の器具の需要も細る。安全に関わる器具ゆえ、規制当局からの認可取り消しやリコールが起きると影響が大きい。
1992年以降、株主に自社株買いで$156M、配当で$90Mを還元してきた。値上がりを追わず、利益率の高い小さな市場を確実に押さえる保守的な経営を続けている。
出産・新生児という需要そのものは景気に振られにくい。ただしアイルランドに製造拠点、英国と豪州に販売子会社を置いているため、ポンドとユーロの為替が損益に直接効いてくる。
この会社をどう読むか
Utah Medical Productsは、社名だけ見ると「ユタ州の医療器具メーカー」という素っ気ない印象だ。だが中身は、1997年から2011年にかけて買い集めた4つの製品ラインの集合体である。Columbia Medicalの吸引分娩器具、Gescoの新生児用器具、Abcorpの胎児モニタリングベルト、英国Femcareの製品群。この4つで2025年の売上の6割近くになる。
自社開発より「すでに病院に定着している製品を買って伸ばす」のがこの会社のやり方で、1982年の上場から一度も大きく方向を変えていない。出産や新生児という需要は景気の波を受けにくい半面、海外売上の比率が高いため為替の影響を受けやすく、規模の小ささゆえ大きな成長は狙いにくい。その代わり、稼いだ利益は自社株買いと配当で株主に戻し続けてきた。
バランスシート (要約)
資産 $123M のうち、借金などの負債を引いて株主のものと言えるのは $119M(97%)。
借金が軽く手元資金も厚い。安全度は最高水準
- 現金・現金同等物$86M
- 他の流動資産$12M
- 固定資産$25M
- 流動負債$3M
この判定で見た指標: 流動比率・自己資本比率・D/E。
収益性 (TTM)
- 売上高
- $39M
- 売上成長率
- −5.8%
- 粗利率
- 57.1%
- 営業利益率
- 29.6%
- 純利益率
- —
- ROE
- —
- ROIC
- 7.6%
キャッシュフロー (TTM)
- 営業CF
- $15M
- フリーCF
- $14M
- 営業CFマージン
- 38.1%
- 現金燃焼
- なし(CFは流入)
配当
- 配当総額(年間)
- $4M
- 配当性向
- —
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