金曜の相場には、はっきりした選別があった。AIに巨額を投じる会社が売られ、AIに金をあまり使わない会社が買われたのだ。
その象徴がアップルだった。約3.5%高。証券会社ベアードはアップルを「嵐の中の港」と表現し、目標株価を引き上げた。港とは、AI設備投資の嵐から資金が逃げ込む避難先という意味だ。アップルの設備投資はアルファベットの20分の1以下とされ、その「身軽さ」がこの日はプレミアムになった。自社のApple Mapsがフォードの次世代EVに採用される発表も、車載ソフトの広がりとして好感された。
IBMも3.7%高。ただしこちらは決算が良かったからではない。7月に発表したQ2は売上も利益も予想に届かなかった。それでも金曜に買われたのは、半導体安を尻目に「AIに大金を使わない、稼ぐ力のあるソフト・サービス系」として資金が回ってきたからだ。高採算のソフトウェア部門が約5%伸びていた点だけが、明るい材料として拾われた。
内需のホーム・デポや決済のマスターカードも小幅高で、景気に左右されにくい安定収益の会社に資金が向かった。半導体という「未来の成長」が疑われるほど、「今の確かな稼ぎ」に光が当たる構図だ。
読み解くべきは、この選別軸が定着するかだ。数週間前まで、AIに大きく投資する会社ほど買われていた。それが「投資の回収はいつなのか」という問いの前で反転した。使う側が罰され、使わない側が報われる——この物差しが続くなら、相場の主役は静かに入れ替わる。
出典: ts2.tech(7/24・アップル「嵐の中の港」、ベアードが目標株価引き上げ) / Advisor Perspectives(7・アップルがエヌビディアを抜き時価総額首位、great rotation) / CNBC(7/22・IBMのQ2決算、ソフトは伸びるも売上・利益は未達)
