火曜、AIに近い銘柄が軒並み売られる裏側で、医療株が買われていた。医療セクター全体を映す指数は、取引時間中に過去最高値をつけている。
先頭はアイキューヴィアの13.94%高だ。製薬会社に代わって新薬の臨床試験を運営する会社で、この日の朝に出した4〜6月期の決算が効いた。売上高は前年同期比8.7%増の$4.368B、調整後の1株利益は12.1%増の$3.15。特に評価されたのは受注で、新たに受けた仕事が前年同期比19%増の$3.15Bに達し、売った額より受けた額のほうが多い状態が続いている。
この決算は、同業にも広がった。実験機器のサーモフィッシャーが3.02%高。この会社自身はこの日何も発表していないが、製薬会社が研究開発にお金を使い続けているという証拠が、まとめて買う理由になった。
発表がなくても買われた会社
アムジェンは4.48%高で、自身の最高値を更新した。決算の発表は8月4日の予定で、この日は何も出していない。HCA7.33%高、テネット7.92%高という病院2社も同じだ。
つまりこの日の医療株の上昇は、個々の会社の中身だけで説明できない。半導体から抜けた資金が、行き先を探した結果として流れ込んだ側面が大きい。
同じことは日用品でも起きている。コカ・コーラが5.00%高。こちらは決算があり、売上は前年同期比7%増の$13.4B、販売数量は5%増。砂糖を使わない製品が16%伸び、通年の見通しも引き上げた。中身のよさと資金の逃避が重なった形だ。
「AIから遠い」が買う理由になった日
医療も日用品も、AIデータセンターの建設が止まっても売上がすぐには変わらない。病院は患者が来る限り動くし、飲料は毎日売れる。中国が露光装置を作れるかどうかは、どちらの業績にも直接は響かない。
その無関係さが、この日は買う理由になった。市場全体が怖がっているわけではない。恐怖指数と呼ばれるVIXは18.21と落ち着いたままで、ダウは537ドル上げている。売られているのは特定のテーマだけで、そこから出た資金は現金にならず、別の株に移っただけだ。
こういう日が続くかどうかは、AIへの疑いがどれだけ長引くかによる。ただ、逃げ場として買われた分は、テーマが落ち着けばまた出ていく性質のものでもある。決算で中身を示した会社と、逃げ場として選ばれただけの会社は、次に相場が変わるときに違う動き方をする。
