火曜の米国株を「半導体が下げた日」とまとめると、大事なところを取りこぼす。下げ幅を大きい順に並べると、半導体メーカーより深く沈んだ会社が並ぶからだ。
コーニング12.10%安。データセンターの中と外をつなぐ光ファイバーの会社だ。コヒレント10.31%安、ルメンタム8.43%安。どちらも光で信号を送る部品を作る。キャリア8.90%安は空調で、サーバーが出す熱を逃がす役割を担う。ブルームエナジー11.34%安は燃料電池で、電力網が足りない場所に電気を供給する。スターリング15.21%安は、データセンターを建てる土地の造成と基礎工事をする。
半導体本体は、マイクロン8.85%安、AMD8.15%安。つまり、チップより配管のほうが売られた。
なぜ配管のほうが深く沈むのか
理由は買われ方にある。スターリングは年初来でほぼ2倍まで買われていた。データセンターが建つなら造成工事が要る、という筋書きは分かりやすく、実際に受注も伸びていた。ブルームエナジーもキャリアも、AIには電気と冷却が要るという同じ理屈で買われてきた。
こうした銘柄は、AIへの期待をそのまま値段にしている度合いが高い。チップメーカーには他の顧客もあり、スマートフォンにも自動車にも売っている。だが造成工事の会社にとって、データセンター案件が止まれば代わりはすぐに見つからない。期待だけで積み上がった分は、期待が揺れたときに真っ先に落ちる。
この日揺れたのは、まさにその期待だった。中国が半導体を自前で作れるかもしれないという供給側の話に加えて、エヌビディアがOpenAIのデータセンター計画に巨額の資金を支援するという報道が重なり、AIへの投資は身内でお金を回しているだけではないかという疑いが出た。建設が続くかどうかそのものが問われれば、建てる側の会社がいちばん強く反応する。
この日、これらの会社はどこも決算を出していない。スターリングの4〜6月期発表は8月3日の予定で、まだ何も分かっていない。売られたのは業績ではなく、前提のほうだ。
配管を見れば、テーマの体温が分かる
半導体株だけを見ていると、こういう広がりは見えない。中国が装置を作れるかどうかという話が、なぜ空調メーカーの株価を1割動かすのか。つながっているのは「AIデータセンターがこの先も建ち続ける」という1本の前提で、そこに乗っている会社は業種が違っても同じ動きをする。
逆に言えば、配管の値動きはテーマの体温計になる。チップが下げても配管が持ちこたえているなら、疑われているのは特定の会社だ。配管まで一緒に落ちるなら、疑われているのはテーマそのものになる。火曜は、後者だった。
