決算を出していないのに二桁上げた銘柄が、この日は何本も並んだ。
設計ソフトのフィグマが13.28%高、協業ソフトのアトラシアンが10.18%高、アドビも5.73%高である。
2026年のソフトは「食われる側」だった
この一群は、今年ずっと同じ理由で売られてきた。
AIが文章も絵も設計も自分で作れるなら、それを作る道具を売る会社は要らなくなる──という見立てである。道具の値段は、道具が要らなくなる速さで割り引かれてきた。
FIGFigma▲13.28%
TEAMAtlassian▲10.18%
ADBEAdobe▲5.73%
CRMSalesforce▲22.58%
VEEVVeeva Systems▲15.20%
この日はその割引が外れた。ソフト関連のETFは1日で6.5%上げている。
数字を出した側が、見立てを崩した
きっかけは、同じ夜に出たソフト各社の決算だった。
セールスフォースはAI事業のAgentforceとData 360の年間経常収入が$3.9Bを超え、前年比210%以上伸びたと発表した。製薬向けのヴィーバ・システムズも、顧客管理システムVault CRMが過去最高の四半期となり、稼働中の顧客が180社を超えたと述べている。
AIが業務ソフトの売上を食っているなら、これらの数字は出ない。むしろAIを売る場所として、既存のソフトが使われていた。
買われたのはソフトだけだった
同じ日に半導体は連れ高していない。AMDは0.89%安、マイクロンも0.32%安である。
つまりこの日の動きは「AI関連が上がった」ではない。AIによって稼ぐ側と、AIによって消える側の線が引き直された、という話である。フィグマやアドビのように決算を伴わない上げは、その線引きの変更だけで動いている。
線は、次の決算でまた引き直される。決算を出さずに上げた銘柄ほど、確かめる材料を持っていない。市場全体の動きは朝刊にまとめている。
