月曜の米国株は、指数の数字だけ見れば小さな下げだった。
S&P 500が0.33%安の7,686.14、ナスダックが0.12%安の26,370.89。ダウは374ドル安の53,185.90である。
動いたのは株の外側だった。原油WTIが3.86%高、10年債の利回りが4.76%へ上昇している。
きっかけは中東である。
米軍がホルムズ海峡のイラン領の島を撃ち、イランが報復した
米軍がホルムズ海峡にあるイラン領の島を攻撃し、テヘランが撃ち返した。両者が撃ち合うのは約1か月ぶりになる。
場所が問題だった。ホルムズ海峡は世界の石油輸送の要衝で、ここが詰まると供給そのものが細る。
ブレント原油は3.5%高の$91.20、WTIも同じ幅で$86.30まで上がった。サイト掲載の終値ベースでは、WTIは3.86%高である。
金は0.65%高と小さい。市場が買ったのは逃げ場ではなく、供給が細る側の商品だった。
11セクターで上げたのはエネルギー1業種だけ
セクターの並びは、この日の性格をそのまま映している。
- エネルギー▲1.38%
- 公益事業▼0.22%
- 情報技術▼0.32%
- 金融▼0.35%
- ヘルスケア▼0.49%
- 素材▼0.56%
- 不動産▼0.68%
- 資本財▼0.68%
- コミュニケーション・サービス▼0.72%
- 生活必需品▼0.73%
- 一般消費財▼1.01%
上げたのはエネルギーの1.38%高だけで、残る10業種はすべて下げた。最下位は一般消費財の1.01%安である。
エクソンモービルは2.71%高で、超大型株の上昇上位に入った。シェブロンやコノコフィリップス、油田サービスのハリバートンも同じ向きに動いている。
原油高はもう一方の顔を持つ。輸送も製造も燃料を使うから、コストとして跳ね返る。
原油高と利回り4.76%が、9月利上げの観測を後押しした
金曜の朝刊で書いたとおり、ウォーシュFRB議長はジャクソンホールで「まだやることがある」と述べていた。9月利上げの織り込みは、その日に35%から57%へ跳ねている。
そこへ原油高が乗った。エネルギー価格はインフレ統計に直接効くため、利上げの理由を増やす方向に働く。
10年債の利回りは4.76%まで上がり、VIXは14.9へ小幅に上げた。パニックではないが、警戒は少し強まっている。
金利が上がる日は、遠い将来の利益で評価される株から売られやすい。アルファベットが2.09%安、アマゾン・ドット・コムが2.50%安と、超大型テックがそろって下げてナスダックの戻りを抑えた。
カリフォルニア州の山火事法案で、電力3社が別枠で売られた
この日いちばん大きく動いたのは、原油でも金利でもない銘柄だった。
カリフォルニア州議会が土曜に出した山火事対応の法案に、上場電力会社の賠償責任を軽くする条項が入らなかった。
EIXEdison International▼23.07%
PCGPG&E▼20.06%
SRESempra▼3.10%
エジソン・インターナショナルが23.07%安で、2001年の電力危機以来で最悪の1日となった。PG&Eが20.06%安、センプラが3.10%安である。
公益事業セクター全体は0.22%安にとどまった。売られたのはカリフォルニアで火災の賠償を負う会社だけで、業種全体の話ではない。
上げた超大型株はテスラ。サイバーキャブの発表会が9月3日にある
指数に逆らって上げた筆頭がテスラの5.51%高だった。
9月3日にテキサス州オースティンで開くサイバーキャブの発表会に関心が集まっている。ハンドルのない自動運転専用車で、生産はすでに始まった。
メモリも強かった。サンディスクが5.50%高、マイクロン・テクノロジーが2.77%高である。NAND製品の10%値上げと、マイクロンの見積もり提示の停止が重なった。
深掘り
- エジソン23.07%安、PG&E20.06%安。山火事の請求書は電力会社に残った
- ハウメット7.51%安。マスクがタービンの翼を自分で作ると言った
- $17Bを全額借金で。エーオンは買うと言った日に9.53%売られた
- FTCがアマゾンを提訴する方針。狙いは通販でなく広告だった
- ビットコイン$71,000超え。株が下げた日に暗号資産だけ逆を向いた
補足
この日の値動きには、実体のない急騰がひとつ混じっていた。ラッシュ・エンタープライジズのA種・B種がそろって40%超の上昇に見えたが、これは8月31日に実施された3対2の株式分割による表示のずれである。実際の価値は動いていないため、主役の一覧からは外した。
