木曜の米国株は、朝発表の7月の卸売物価が前月から横ばいにとどまり、物価の上振れ警戒がまた一段やわらいだ。S&P 500は0.65%高の7,798.99で最高値を更新し、取引時間中には初めて7,800台に乗せた。
ただ、この日の本当の主役は指数ではなくメモリだ。同じ日に、メモリを売る側の宣言と、買う側の悲鳴が重なった。
サンディスクの「粗利8割」宣言でメモリ株が全面高
サンディスクは投資家説明会で、2030年度までの長期目標を示した。粗利率をおよそ8割で維持し、売上を年1割台半ばで伸ばすという内容だ。
顧客8社とはすでに複数年の販売契約を結んだという。乱高下を繰り返してきたメモリの商売を「構造が変わった」と言い切る中身で、株価は13.67%高となった。
連想は同業に広がった。マイクロンは4.23%高、ハードディスクのシーゲイトも4.91%高と、記憶装置の一角がそろって買われた。
シスコは過去最高の売上でも8.40%安
同じメモリが、買う側には請求書になる。シスコシステムズは前日夜の決算で、売上が前年から18%増えて過去最高。AI向けの受注も膨らんだ。
それでも株価は8.40%安。会社の発表によれば、メモリなど部品の値上がりで粗利率は前年の68.4%から66.3%へ下がった。値上がりしたメモリの請求書を払う側に、市場は厳しかった。
次の四半期の売上目標は市場予想を大きく上回る。それでも「コスト高が利益を食う」構図の方が重く見られ、同業のアリスタ・ネットワークスにも3.27%安と連想売りが及んだ。
ワークデイの買収報道で、ソフトウェア株が全面高
もうひとつの流れがソフトウェアだ。人事・財務ソフトのワークデイが、投資ファンドによる買収協議の報道で17.78%高となった。
AIに仕事を奪われるという警戒で売られてきたソフト株全体に「次はどこか」という買いが広がった。ハブスポットは14.46%高、ドキュサインは10.31%高だ。
物価統計は2日連続で下振れ、利上げ観測は後退
物価の統計は2日続けて市場に優しかった。前日の消費者物価に続き、この日の卸売物価も予想を下回り、金利先物の市場では利上げの織り込みが大きく後退した。
一方で、良い決算が売られる動きも続いている。光部品のコヒレントは四半期売上が初めて$2Bを超えても7.99%安。高くなった株には、良い数字だけでは足りない1日だった。
