1870年の創業以来、一つの家族が議決権を握ったまま上場を続けている点は、同業の大手にはあまり見られない統治の形だ。世界最大級のアメリカ資本の蒸留酒会社という位置も、この継続の産物になる。
ジャックダニエルは世界で最も売れるアメリカン・ウイスキーで、この一本の強さが収益の重心を占める。ウッドフォード・リザーブやテキーラのエル・ヒマドールも抱えるが、看板の役割は分散していない。米国が売上の44%を占め、残る56%は170か国あまりに散る。
米国産ウイスキーは過去に貿易摩擦の報復関税の標的になった経緯があり、再び課されれば看板商品が直撃を受ける。若い世代の飲酒離れや、食欲を抑える薬の広がりは、長期の需要そのものを削りかねない。
増配を長年続けながらも、大型買収より自社ブランドの育成を選ぶ堅実な運営。創業家の議決権が、短期の圧力から経営を隔てる緩衝材として働いている。
ニューヨーク証券取引所の規則で「支配された会社」に分類されるほど、ブラウン家がいまも議決権の過半を握る。世界の高級蒸留酒への需要と、看板ウイスキーに各国がかける関税の扱いが、業績の振れ幅を決める。
この会社をどう読むか
1870年のオールド・フォレスターに始まった商売が、150年以上たったいまも創業家の手を離れていない。ブラウン家が議決権の過半を握るため、ニューヨーク証券取引所の規則では「支配された会社」に区分される。
この統治のおかげで、四半期ごとの株価よりジャック・ダニエルという看板の寿命を優先できる。裏を返せば、家族の判断がそのまま会社の方向になる。関税も若年層の飲酒離れも外から来る話だが、それをどう受け止めるかは、まずこの株主構成が決めている。
バランスシート (要約)
資産 $7.9B のうち、借金などの負債を引いて株主のものと言えるのは $4B(51%)。
借金が軽く手元資金も厚い。安全度は最高水準
- 現金・現金同等物$308M
- 他の流動資産$3.7B
- 固定資産$3.9B
- 流動負債$1.2B
- 長期借入金$2.1B
- 短期借入金$351M
この判定で見た指標: 流動比率・自己資本比率・D/E。
収益性 (TTM)
- 売上高
- $3.9B
- 売上成長率
- −1.2%
- 粗利率
- 60.5%
- 営業利益率
- 25.5%
- 純利益率
- 18.2%
- ROE
- 17.8%
- ROIC
- 12.1%
キャッシュフロー (TTM)
- 営業CF
- $1B
- フリーCF
- $893M
- 営業CFマージン
- 25.5%
- 現金燃焼
- なし(CFは流入)
配当
- 配当総額(年間)
- $427M
- 配当性向
- 59.7%
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