木曜の米国株は4日続けて下げた。
ダウは0.60%安の52,064.10で、316ドル下げた。S&P 500は0.58%安の7,591.70、ナスダックは0.65%安の26,081.72である。
ラッセル2000も1.04%安だった。恐怖指数と呼ばれるVIXは17.84まで上げている。
8月の卸売物価が5.4%高。上げ幅の4分の3はエネルギーだった
朝8時半、米労働統計局が8月の卸売物価を発表した。
企業間で取引される値段の指標である。前月比で0.4%高、前年同月比では5.4%高だった。今年に入っていちばん大きい伸びになる。
中身を見ると、モノが1.1%高、サービスが0.1%高だった。上げ幅の4分の3以上はエネルギーの4.2%高で説明が付く。
つまり、この物価上昇はほぼ原油である。
原油はさらに8%上げて$103台に乗せた
原油はこの日も上げ続けた。
サイト掲載のWTIは8.20%高の$103.93である。報道では米国産原油の清算値が6.7%高の$102.48、北海ブレントが5.9%高の$107.63で、どちらも5月19日以来の高さだった。
米国とイランの戦闘は7か月目に入っている。世界の原油の5分の1が通るホルムズ海峡で、船への攻撃が続いていることが値段を押し上げた。
9月16日の会合で利上げ、との見方が6〜7割に
物価と原油が同じ方向を向いたことで、金融政策の見方が変わった。
9月16日の連邦公開市場委員会で利上げがあるという確率は、この日6〜7割まで上がっている。夏の間、市場が話していたのは利下げの時期だった。
サイト掲載の10年債利回りは4.94%で0.11ポイント上げた。報道では2023年以来の水準である。ドル円は154.36まで円安に振れた。
金利が上がる前提に変わると、遠い将来の利益を当て込んだ株から順に値段が下がる。
ラムリサーチ5.65%安。半導体が業種ごと売られた
- コミュニケーション・サービス▲0.12%
- 金融▼0.15%
- エネルギー▼0.37%
- 生活必需品▼0.45%
- 不動産▼0.79%
- 一般消費財▼0.91%
- 公益事業▼0.92%
- 資本財▼1.20%
- 情報技術▼1.21%
- ヘルスケア▼1.68%
- 素材▼2.22%
11業種でプラスはコミュニケーション・サービスの0.12%高だけだった。情報技術は1.21%安である。
なかでも半導体が深かった。ラムリサーチが5.65%安、インテルが5.57%安、マイクロン・テクノロジーが4.90%安、AMDが3.36%安である。
半導体の会社は借金で設備を建てて先の需要を取りに行く。金利が上がると、その計算の前提がまとめて狂う。
LRCXLam Research▼5.65%
INTCIntel▼5.57%
MUMicron Technology▼4.90%
AMDAdvanced Micro Devices▼3.36%
NVDANVIDIA▼2.37%
インテルには自社の材料もあった。公募増資の規模を$15Bから$20Bへ広げ、約2億1,050万株を1株$95で売り出すと決めている。1株あたりの価値はその分だけ薄まる。
オラクルも5.38%安だった。引け後に決算を控えていた会社である。事情は深掘りに書いた。
原油が8%上がっても、エネルギー株は上がらなかった
素直に読めば、原油高でエネルギー株は買われるはずだった。
実際は違う。エクソンモービルが0.61%高、コノコフィリップスが0.37%高と小幅にとどまり、業種全体では0.37%安である。
製油所を持つ会社はむしろ下げた。マラソン・ペトロリアムが1.76%安、バレロ・エナジーが0.91%安である。原料の原油が上がると、精製の利ざやは細る。
XOMExxon Mobil▲0.61%
COPConocoPhillips▲0.37%
MPCMarathon Petroleum▼1.76%
VLOValero Energy▼0.91%
BKRBaker Hughes▼6.66%
いちばん下げたのはベーカー・ヒューズの6.66%安だった。ロレンツォ・シモネリCEOがバークレイズのカンファレンスで、買収したチャート・インダストリーズの統合費用が当面の業績を圧迫すると述べたためである。
クーパー14.67%安。大型株でこの日いちばん深い下げ
相場と関係のない材料で動いた会社もある。
クーパー・カンパニーズが14.67%安となった。コンタクトレンズと婦人科向け医療機器の会社である。
7月期の売上が市場の見込みに届かず、10月期の利益見通しも1割以上下回った。あわせて、婦人科向け事業クーパーサージカルの売却検討をやめ、保有を続けると発表している。届いた提案は株主の利益にならないと判断したという。
COOCooper Companies▼14.67%LECOLincoln Electric Holdings▼7.54%
AEOAmerican Eagle Outfitters▼13.97%
溶接機のリンカーン・エレクトリックも7.54%安だった。ジェフリーズの産業カンファレンスで経営陣が、産業向けの需要の弱さと設備投資の遅れに触れている。
深掘り
- 関税の話が止まり、銅は5.4%安。記録づくめだった8月が一日で戻った
- アップル3.56%高 ── 4日続落の相場で、光っていたのはここだけ
- スカイワークス9.79%高、クォルボ6.77%高。中国の審査が最終段階に
- オラクル5.38%安。決算の3時間前に、市場は答えを先に出した
- アメリカン・イーグルの好決算は、$161Mの関税還付が作っていた
次に見るのは9月16日の連邦公開市場委員会
来週16日の連邦公開市場委員会が最大の節目になる。
原油が下がらないまま会合を迎えれば、利上げは現実味を増す。逆に、ホルムズ海峡の情勢が落ち着いて原油が戻れば、この4日間の下げの前提も一緒に消える。
