週明けの米国株は、半導体が売られて下げた。
ダウは0.29%安の52,421.20、S&P 500は0.48%安の7,619.98、ナスダックは0.56%安の26,186.41である。
ナスダックは朝方に1.5%安まで下げてから、下げ幅を縮めた。ラッセル2000は0.40%安だった。
週末の論考「AIを上げる速さを落とすべき」に、オープンAIも同意した
きっかけは、土曜に出た1本の論考である。
AI開発のアンソロピックを率いるダリオ・アモデイCEOが、約3,800語の文章を公開した。AIの能力を上げる速さを落とすべきだ、という主張である。
学習や技術の進歩を止めるという意味ではない、と本人は書いている。安全の確認が能力の伸びに追いつくまで、時間をかけるという考え方だ。
オープンAIのサム・アルトマンCEOは、X(旧ツイッター)で「ダリオに同意する」と投稿した。AIを作る側の2社のトップが、そろって減速を口にした形になる。
売られたのは工場の装置。ラム8.29%安、ASML7.25%安
最も強く売られたのは、半導体の工場に装置を納める会社だった。
ラムリサーチが8.29%安、アプライド・マテリアルズが7.07%安、ASMLが7.25%安、KLAが6.39%安である。検査装置のテラダインは13.30%安となった。
LRCXLam Research▼8.29%
AMATApplied Materials▼7.07%
ASMLASML Holding▼7.25%
KLACKLA Corporation▼6.39%
TERTeradyne▼13.30%
24/7 Wall St.は、装置の会社は最終の需要から遠いと指摘している。受注は、将来に工場へいくら投じるかの計画を映す。AIへの投資の見直しは、出荷より先に受注に響く。
アーム9.74%安、エヌビディアは3.36%安
半導体を設計する側も下げた。
アーム・ホールディングスが9.74%安、メモリーのSKハイニックスが7.60%安、マイクロン・テクノロジーが5.25%安である。
ARMARM Holdings▼9.74%
SKHYSK hynix Inc.▼7.60%MUMicron Technology▼5.25%
AVGOBroadcom▼4.77%
NVDANVIDIA▼3.36%
ブロードコムは4.77%安、エヌビディアは3.36%安だった。24/7 Wall St.によると、半導体株のETFは一時5%下げている。
- コミュニケーション・サービス▲0.60%
- ヘルスケア▲0.50%
- 生活必需品▲0.34%
- 金融▲0.09%
- 一般消費財▼0.09%
- 不動産▼0.28%
- 公益事業▼0.72%
- 情報技術▼0.86%
- 資本財▼1.18%
- エネルギー▼1.57%
- 素材▼2.06%
11業種で最も下げたのは素材の2.06%安だった。情報技術は0.86%安、資本財は1.18%安で、上げたのはコミュニケーション・サービスなど4業種にとどまる。
光ファイバーと発電設備も、AIの投資とともに売られた
データセンターの建設に部材を納める会社にも、売りは広がった。
コーニングは13.70%安である。$2Bの株を売り出す枠を設けたと明らかにし、AIの減速論と重なった。事情は深掘りに書いた。
発電設備のGEベルノバは8.62%安だった。調査会社GLJリサーチが売り推奨で調査を始め、目標株価を$470とした。事情は深掘りに書いた。
お金はソフトウェアへ。ゼットスケーラー16.52%高
同じハイテクでも、ソフトウェアは逆に買われた。
ゼットスケーラーが16.52%高、クラウドストライクが13.85%高、パロアルトネットワークスが13.09%高、オクタが11.98%高である。アモデイ氏の論考は、AIを使った攻撃の被害にも触れていた。
ZSZscaler▲16.52%
CRWDCrowdStrike▲13.85%
PANWPalo Alto Networks▲13.09%
OKTAOkta▲11.98%
NOWServiceNow▲7.41%
業務ソフトのサービスナウも7.41%高、セールスフォースも4.73%高となった。事情は深掘りに書いた。
10年債は一時5%に。利上げの確率は約9割
金利も株の重しになった。
Yahoo Financeによると、10年債利回りは一時5%を超え、2023年以来の高さを付けた。サイト掲載の終値は4.96%である。
16日の会合で利上げがあるとの見方は、88〜90%に上がっている。先週金曜の消費者物価で、食品とエネルギーを除く指数が予想をやや上回ったことが効いた。
サウジが紅海へのパイプラインを止めた
原油も上げた。サウジアラビアは、ペルシャ湾を通らずに紅海へ原油を運ぶ東西パイプラインを止めたままである。
サイト掲載のWTIは1.34%高の$101.39だった。月曜に予定されていた、オマーンでのイランと湾岸諸国の会合も延期になっている。事情は深掘りに書いた。
バンク・オブ・アメリカ5.14%安
銀行株も売られた。バンク・オブ・アメリカは5.14%安である。
ブライアン・モイニハンCEOが、7〜9月期の投資銀行の手数料が前年から10%以上減るとの見通しを示した。事情は深掘りに書いた。
ロブロックス12.73%高、ネットフリックス3.77%高
個別の材料で上げた銘柄もある。
ロブロックスは12.73%高だった。11日の開発者会議で、作ったゲームを別のアプリとして配れる仕組みなどを発表している。
ネットフリックスは3.77%高である。エバーコアISIが強気の評価を続け、目標株価を$110に上げた。
深掘り
- ゼットスケーラー16.52%高。AIが危ういほど、守る会社が買われた
- サウジが輸送力700万バレルの迂回路を止めた ── 原油は一時$109台
- 「手数料は10%以上減る」。バンカメ5.14%安、銀行株も売られた
- $2Bの株を売る枠で、コーニング13.70%安。光通信株も連れ安
- 目標$470は株価の半値近く。GEベルノバ8.62%安
次に見るのは16日の会合と、AI各社の投資計画
16日の水曜には、連邦公開市場委員会の結果が出る。約9割まで織り込んだ利上げが実際に決まるか、声明がその先をどう語るかを見たい。
AIの減速論が、データセンターへの投資額を本当に変えるかはまだ分からない。大手IT各社の次の決算で、設備投資の見通しが据え置かれるかが確かめどころになる。
